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北海道人 ドラゴンとアンモナイト --化石が語る太古の北海道
2. 北海道とアンモナイト 日本最大級のアンモナイト。直径約110センチ(北海道三笠市産) 北海道は、世界的なアンモナイト産地のひとつである。
 「アンモナイトなら北海道」というくらい、実はたくさん発掘される。種類も多いうえ、巨大アンモナイト(ふつう直径50センチ以上をそうよぶ)も多い。ただし北海道ならどこでもということはなく、産地は浦河から日高山脈を北上し、宗谷にかけての中央部と、釧路・根室付近の東部にほぼ限られる。
アンモナイト産地
 さて、それはどうしてか。
 そもそもアンモナイトが生きていた中生代、北海道はまだ島の形をしていなかった。おおざっぱにいうと、西がわはアジア大陸とつながっていて、東がわは海だった。
 現在の北海道の西部が、ちょうどアジア大陸の東端にあたり、その向こうは海の底。海のなかには、大小のアンモナイトたちがゆらゆら泳いでいたことだろう。そして現在の中央部(つまりアンモナイト産地)は、大陸と海溝の間の盆地状にあたる部分だった。この盆地に泥や岩が厚く堆積し、約8000メートルを超す地層となり、アンモナイトなど多くの水中生物の死がいが化石となって封じこめられた。同じく、根室東部も大陸と海溝の間にあたり、岩や砂などが堆積した。
 これらの地層が隆起などで地表面に表われ、はるかな時を越えて、アンモナイトが現代にやって来たというわけだ。

アンモナイトなどの化石が入ったノジュール。  もうひとつ、大きな特徴がある。
 北海道で発掘されるアンモナイトは、保存状態がとてもよく、形がきれいに残っている。その秘密は、「ノジュール」とよばれる固い岩のような塊にある。
 ノジュールは英語でnoduleと書き、「団塊」を意味する。大きさは1センチから数メートルまであるが、何かの原因で、水中の炭酸カルシウムが固結してできたもの。「何らかの原因」にはいろいろあるが、そのなかのひとつに、化石がある。
 アンモナイトなどの生物が死ぬと、死がいは細菌によって分解され、アンモニアが放出される。すると周囲がアルカリ性になり、水にとけていた炭酸カルシウムが集まって、化石をおおうように固まる。こうして、化石を包むようにノジュールが形成される。ノジュールは出来上がると非常に固い組織となり、中の化石が圧力でつぶれたり、熱で溶けたり、欠けたりしないで、完全なまま残りやすい。不運にもノジュールが形成されずに、泥や砂にそのまま埋没して化石化する場合もあり、そういう化石はなかなか完全な形で残らない。
 北海道では、アンモナイトを含むノジュールが多く産出する。化石を掘るときは、河原やガケなどでノジュールを探し、割ってみるという方法が一般的だ。


  ※写真撮影はすべて三笠市立博物館


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