北海道人・特集バックナンバー HOME バックナンバー一覧

  ドラゴンとアンモナイト --化石が語る太古の北海道 北海道人トップページへ
    1. ナゾがうずまくアンモナイト

  表【アンモナイトが生きていた時代】

 化石といえば、まず最初に思いうかぶのが、うずまき状のアンモナイトだろう。
 アンモナイトは、古生代、デボン紀(約4億年前)から中生代白亜紀(約6500万年前)まで海に生きていた動物で、世界中で約1万種もの化石が発見されている。かつて海の底だった北海道からも、白亜紀後期のアンモナイトを中心に約500種もの化石が発見されている。
 その形から「かぼちゃ石」とよばれたり、すわりが良いので漬物石に使われたりもした。形がきれいなのでコレクターも多く、土産物店などでもよく見かける。私たちにとってはずいぶん身近な石でもある。

 しかし、その生態をみてみると、まだたくさんのナゾに包まれている。
 ナゾの理由はいくつもあるが、その一つに、アンモナイトの「身」が発見されていないことがある。つまり、いま私たちが見ている化石はカタツムリの「殻」にあたる部分で、頭や目、足、内臓などがあった軟体部は、他の生き物に食べられたり、細菌に分解されたりして、すっかり消えてしまっているのだ。

 もう一つの理由は、アンモナイトは恐竜と同じく中生代後期の白亜紀に大繁栄し、その後絶滅してしまったことがある。絶滅の原因は、いん石の衝突とか、気温の低下とか、さまざまな要因が重なり合ったためとされるが、とにかく子孫にあたる生物が現存していない。そのため多くの古生物学者たちは、わずかに残された化石をもとに、「こんな姿だっただろう」「こんな生態だったはずだ」と熱心に想像をめぐらせてきた。今もその解明は続けられている。

 そうしてひも解かれたアンモナイトの生態を、ここでかんたんに説明しよう。

  アンモナイトの想像図

 
■アンモナイトは、イカやタコの仲間
 アンモナイトは、うずまき状に巻いているものが多いことから巻貝の仲間と思われがちだが、イカやタコと同じ仲間である「頭足(とうそく)類」に分類される。アンモナイトの化石からは、イカやタコの「トンビ」にあたる部分(顎器・歯舌)も見つかっている。


■色は不明?
 アンモナイトが生きていたとき、殻がどんな色だったかは、残念ながら化石からは分からない。もしかすると、とても鮮やかな色や模様がついていたかもしれない。


■生まれたときは約1ミリ
 アンモナイトは卵から生まれる。ふ化した時点では直径1ミリほどで、成長とともに次第に大きな殻ができる。ただし、どこまでも大きくなるわけではなく、種類によってサイズはほぼ決まっている。しかし現在のところ、アンモナイトの年齢や寿命はまだほとんど分かっていない。ちなみに、今までに見つかった世界最大のアンモナイトは、殻の直径2.5メートル(イギリス産)。


■エサは甲殻類や貝など
 アンモナイトは口や歯の形などから、草食ではなく肉食で、小さな甲殻類や貝などを食べていたと思われる。また、アンモナイト自身は、同時代の海にいたクビナガリュウなどに食べられていた。


■オウムガイが仲間
 アンモナイトは絶滅してしまったが、現存する生物で最もアンモナイトとよく似た形をしているのが「オウムガイ」。別名「生きた化石」とよばれ、フィリピンなど暖かい地域に棲息する。

オウムガイの殻・断面
■姿形はいろいろ。うずまき状でないものも
 アンモナイトの姿や形、大きさは多種多様である。管のような殻が伸びているもの、まっすぐな棒状のものなど、うずまき状でないアンモナイトもあり、これらは「異常まき」とよばれる。

異常まきアンモナイトと正常まきアンモナイト


■殻のガスでバランスをとり、海底をゆっくり遊泳
 殻の内部は壁でしきられた小部屋=「気室(きしつ)」と、軟体部が入る「住房(じゅうぼう)」に分かれる。気室は細い管でつながり、それぞれにガスが入っていて、ガスの浮力により水中でバランスを保つことができる。また、ガスを出し入れして、自由に水中を浮き沈みしたとも考えられている。移動するときは、水を吸い込み、それを吹き出す勢いで海底を泳ぐ。

アンモナイトの殻の断面
アンモナイトの殻の断面

  ※写真撮影はすべて三笠市立博物館


  前ページ 次ページ