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北海道人トップページへ 特集 そりと角巻--北国のなつかしい冬
角巻ものがたり 3. 消えた角巻
角巻

 角巻は、戦後まもなく姿を消す。
 その大きな理由は、和服を着る機会が減り、洋装があたり前になり、コートやオーバーなどのファッションが当たり前になったことや、化学繊維の普及によって防寒着の革命的変化が起きたことなどがあげられるだろう。
 昭和28年発行の『北海道風俗研究』のなかに、「もう都市に於いてはかくまきの使用も少なくなり、時代の遺失物の如く姿を消しはじめている。けれども田舎では和服と調和し、よき防寒具の価値はいまだ失われていない」とある。
 この当時、すでに札幌などの都市部では、角巻の姿がほとんど見られなくなっていたことがわかる。それはファッションに敏感な札幌という都市の姿を示しているのかもしれない。逆に伝統の色濃い東北地方では、近年までお年寄りが利用する姿が見られたようだ。
 角巻が姿を消し、今ではカラフルで防寒性にすぐれた衣料が世の中にあふれかえっている。それはそれで便利で華やかな現在だが、かつて母の角巻に包まれて幸せだった子供たちの姿も、もう見ることはできない。

 角巻が実は、ひょんなところに生き残っていたことがある。
 家庭用品品質表示法という法律があるが、その施行令に繊維製品のリストがある。平成9年に改正されるまで、その別表に上衣、ズボン、スカートと並び「角巻」があった。もう製造もされず、言葉としても忘れられていた角巻が、法律の片隅に生き残っていたのである。
 それは、意味のないことなのかもしれないが、角巻の思い出をもつわたしたちにとっては、少しせつなく、うれしい。


 
◆なつかしの角巻を体験しよう
北海道の昔の町並みを再現している「北海道開拓の村」では、「冬の生活体験」として2月1日から3月中旬まで、角巻・二重マント・深靴・かんじきの来館者への貸し出しを行っている。この角巻は一般からの寄贈品であり、昭和30年代まで実際に使用されていたもの。
住所:北海道札幌市厚別区厚別町小野幌50-1
電話:011-898-2692
FAX:011-898-2694
テレホンサービス:011-898-1000
URL:http://www.kaitaku.or.jp
北海道開拓の村
 
■参考文献
五代まゆみ「北海道における角巻の定着過程について」北海道開拓記念館研究紀要第25号
北の生活文庫5『北海道の衣食と住まい』(北海道新聞社)
藤波孝成著『北海道風俗研究』(アカシヤ発行所)昭和28年
『札幌狸小路発展史』昭和30年


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