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串田孫一を旅する 北海道人トップページへ
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5. オホーツクのホタテライス

 釧網(せんもう)本線の弟子屈(てしかが)行の最終がでるまでに一時間ばかりあった。駅前の喫茶兼食堂へ行ってさっそくコーヒーをたのんだ。娘さんがコーヒー一ちょうと大きな声を出した。(中略)
 このScallop Riceって知ってる? と私はテーブルの上のメニューを友達に見せて訊ねた。
 Scallop Riceって何だったっけ。
 ホタテ貝さ。つまりホタテ・ライスだ。(『北海道の旅』本文より)
常呂町
レストハウスところ
 話の舞台はオホーツクに面した港町、網走である。網走をはじめとしたオホーツク海沿岸は、ホタテの一大産地だ。でも本に出てくる「ホタテライス」は、なかなか見つけられなかった。本によると、ホタテの貝柱を入れたいためご飯、つまりチャーハンのようだ。
 網走生まれの知人にも、市役所にも観光協会にも聞いてみた。市内のレストランでも探したけれど、どこにも無い。おそらく「駅前の喫茶兼食堂」がずいぶん前に閉店してしまったこともあり、手がかりがつかめない。
 網走をあきらめて、ホタテ水揚げ日本一をほこる常呂(ところ)町へむかった。今の季節はホタテとあわせて、カキのシーズンも真っ盛りである。せっかくなのでカキも食べようと思う。

 さっそく、町でいちばん大きなホタテの看板を掲げる「レストハウスところ」を訪ねた。ここは「ホタテづくし定食」や「ホタテ釜飯」で有名な店だが、ホタテライスはあるだろうか。メニューには出てていない。一度あきらめかけたが、おそるおそる聞いてみると、「ああ、それならすぐできますよ」とあっさりした答えが返ってきた。
 このレストランと、となりの酒屋を経営する阿保栄一社長が、「うちはホタテなら何でもできるから」と心強いことを言ってくれたのだ。
 メニューを見ると、刺し身や貝焼き、ホタテ丼などの和食から、ホタテカレー、ホタテピラフなど洋食もたくさん並んでいる。ホタテライスは普段のメニューにはないけれど、炒めご飯ならすぐできる、ということだった。串田さんの本と同じように、「ホタテライス一ちょう!」と大きな声でオーダーが入った。

「常呂に来たからには、ここで美味しいホタテを味わってほしい」という阿保栄一さん

 
「レストハウスところ」の特製ホタテライス さて、待つこと数分。ほんとうにすぐでき上がった。
 ホタテライスというより、「ホタテチャーハン」という感じだが、一口食べるとホタテの甘みがふわっと広がり、卵や玉ネギとの相性もよく、ちょっと想像を超える味だった。ご飯にホタテの旨みが染みている。「うちでは、自家製の干し貝柱を作っているんです。生とは違って、味がぐっと濃くなるから、ご飯によく合うでしょう」と阿保さん。
 串田さんの食べたホタテライスとは、かなり様子がちがってきたけれど、これはこれでとても美味しい。あっという間に一皿たいらげてしまった。
 
特集 旅と食と文学と 文人たちが出会った味をたどる


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関連情報
「レストハウスところ」
住所: 常呂町西町
電話: 0152-54-2898
営業: 午前11時〜午後8時30分 水曜定休

・常呂町のホームページ
http://www.town.tokoro.hokkaido.jp/