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特集 森と湿原 北海道人トップページへ
湿原と北海道
湿原の大地,説明
  ●広大な面積

 北海道には、日本を代表する広大な湿原が多く残されている。
 面積の大きい順では、1位が道東の釧路湿原(227平方キロメートル。東京の山手線の内側と同じくらい)。2位も道東の別寒辺牛(べかんべうし)湿原、3位が根釧原野とつづき、4位が道北のサロベツ原野、5位は別寒辺牛よりさらに東の霧多布湿原。(平成13年の国土地理院調べより)


●低地にも山地にも

 湿原は水が十分に供給され、溜まりやすい場所にできる。本州ではミズバショウで有名な尾瀬ケ原のように、雪国の高い山の上だけに湿原がみられる。それに比べて北海道は、海に近い、河口の低地に大きな湿原が広がっている。
 北海道は気温が低く、冬は地面の凍結、夏は霧、春は大量の雪解け水により、一年を通して地面が湿った状態にあるため、低地にも湿原が発達するのだ。そのほか、一度に大量の砂などが流れこまない、静かな地形環境も影響している。また、北海道には高山にもたくさんの湿原があり、大雪山や天塩山地、暑寒別岳、ニセコ山地などに多く、こちらは面積が小さい。



●タイプは様々

 湿原は、それぞれ発達の仕方や年代が大きく違う。たとえば、釧路湿原はかつては海だったところがラグーン(潟湖)となり、釧路川などの水が流れ込んで淡水化し、その後海面の下降や土砂の堆積などによって浅くなり、やがて大きな湿原となった。湿原ができたのは今から約3000年前とされる。
 一方、サロベツ原野の形成はもっと古く、6000〜5000年前といわれる。湿原の多くは低層湿原から高層湿原へ移り変わるが、サロベツ原野は違っていて、最初から高層湿原だったことが土壌の調査でわかっている。ごく浅い水に潤された陸地が、泥炭の堆積などによって湿原になった。
 また、大雪山系の山地にある湿原は約4000年前にできた。ここでは、古い火山の斜面にできた凹みに枯れた植物や土砂が溜まって湿原になった。



●ヤマメ、アメマス、イトウの宝庫

 釧路湿原を貫通して流れる川には、清流を好むヤマメ、アメマス、イトウなどの魚がたくさん棲んでいる。秋になるとサケが上ってくる。これは道東がサハリンなどと同じ亜寒帯の気候に属し、冷水を好む魚が多いため。また、最終氷期(今から約7万年〜1万年前)の生き残りのキタサンショウウオ、エゾカオジロトンボなどもこの地方だけに見られる。


●咲き乱れる花・鳥たちの楽園

 湿原の中でも、特に中間湿原(前ページ参照)は植物の種類が多く、美しい花や北海道だけの植物がたくさん見られる。オレンジ色のエゾカンゾウ、青紫のヒオウギアヤメ、白いエゾイソツツジ、ホロムイツツジ、落石岬湿原のサカイツツジ、十勝・根室地方のヤチカンバ、厚岸湖のアッケシソウなど、訪れる人々を楽しませてくれる。
 また、湿原はタンチョウヅルをはじめとする多くの水鳥が棲み、釧路湿原、別寒辺牛・厚岸湖湿原、霧多布湿原、宮島沼、クッチャロ湖、ウトナイ湖が「ラムサール条約」の登録湿地となっている。

→北海道のおもな湿原


関連情報
北海道の自然
http://www.pref.hokkaido.jp/kseikatu/ks-kskky/
北海道水産林務部森林環境室のホームページ
http://www.pref.hokkaido.jp/srinmu/sr-dkkkr/homepage/top/index.html
『北海道人』北海道遺産:霧多布湿原
http://www.hokkaido-jin.jp/heritage/18.html
国土地理院
http://www.gsi.go.jp/
(「自然環境を知る」の項目に、全国の湿原面積の変化を掲載している)
 

参考文献
『北海道の湿原』辻井達一・橘ヒサ子編(北海道大学図書刊行会)
『北海道―自然と人―』野羊健三・辻井達一編著(築地書館)
『北海道の湿原』辻井達一・渡辺祐三著(北海道大学図書刊行会)
『日本の自然 地域編1 北海道』(岩波書店)
『北海道・自然のなりたち』石城謙吉・福田正巳編著(北海道大学図書刊行会)



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