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地図デジタル製作
地図デジタル製作
ジオ・シュミレーター
デジタル地図製作

 

  21世紀のいま、地図の未来はどこへ行こうとしているのか。
 カーナビゲーション、GIS(地理情報システム)、3次元マップ…。地図は「地図」という概念を大きく変えるかもしれない、という思いが胸をよぎる。

 地図の行く先を知りたいと思い、旭川市の北海道地図株式会社を訪ねた。
 同社は、いち早くデジタル地図分野にとり組んだコンピュータ・マッピング画像処理システムのパイオニアであり、音響メーカーのパイオニアと組んで日本初のカーナビゲーション地図を開発したことでも知られる。
 カーナビは、1980年代後半にアメリカが軍事用に使っていた全地球測位システム=GPSを開示したことから、民間レベルでの開発が急速に進んだ。北海道地図がそこにかかわるきっかけは、地図については門外漢だったパイオニアが、「北海道地図が優れている」という評判を聞き、共同開発を申し出たことからだった。
 パイオニアの研究所のある川越に毎週通い、カーナビ本体に地図を載せて実際に車を走らせると、車が通った軌跡が地図上に現われる。「カーナビとはこういうものなのか」と当時技術者として参画した石崎隆久社長は驚いたという。こうした実験を積み重ね1990年、日本初のカーナビが製品化された。

 カーナビを始めとするデジタル地図は、従来の地図とちがい、空間情報を目に見えるかたちにするものだといえる。従来の地図が静的なものだったとすると、デジタル地図はきわめて動的なものだ。地図上の情報は常に動いており、そのリアルタイムな更新も可能になり、様々な情報を重ね合わせたり、選択することもできる。
 地図はもはや地図ではなく、インターネットや携帯GPS、3D技術などと融合しながら「空間情報システム」という表現が似合うようになった。
 しかし地図の可能性は、コンピュータのなかにだけあるのではない。
 地図は、人間の五感に訴えるインターフェイスであり、その可能性はまだまだ存在している。そのことを感じさせてくれたのが、北海道地図の玄関ロビーに設置されている『ジオ・シュミレーター』である。
 このシステムは精緻な立体地形モデルに、プロジェクターで地形画像を投影するというもの。その臨場感あふれる表現力は見る者を圧倒する。時間経過や条件の変更で、動画を臨機応変に変更し映し出すことも可能であり、教育や観光、災害対策などさまざまな用途が想定される。
 「地図は心の内面を映す鏡」と石崎社長は話す。
 デジタルとリアルの融合したこの新しい表現は、まさにそのような「心に響く装置」だった。

 「地図は空間情報のデザインである」と定義できるなら、情報技術はたしかに地図を進化させるだろう。しかし、そのデザインが相手にしているのは、あくまで人間である。進化した空間情報システムを活用しながら、古地図を眺める想像力の愉しさを、人は忘れないのだ。

◎地図の未来を知るためのサイト
◆北海道地図株式会社 http://www.hcc.co.jp/
◆財団法人日本地図センター http://net.jmc.or.jp/
3次元地図のデモが見られる。このシステムを開発したのは札幌の株式会社システム・ケイhttp://www.systemk.co.jp/
◆GISひろば
財団法人日本建設情報総合センターがつくるGISの入門サイト 
http://www.gis.jacic.or.jp/gis/
◆株式会社シーズ・ラボ
地形データを三次元で表示する「GeoCompo」を開発
http://www.cslab.co.jp/
◆空遊散歩―さっぽろ雪まつり
3次元地図を利用した「さっぽろ雪まつり」「北海道観光」の実証実験のサイト
http://www.hokkaido-wakuwaku3d.com
開発したのは北海道コンピュータマッピング株式会社
http://www.hcm.co.jp/


[参考文献]
・『北海道古地図集成』 高倉新一郎編著/北海道出版企画センター
・『北方領土―古地図と歴史』 /北方領土問題調査会編 
・『函館の古地図と絵図』 吉村博道編
・『日本北辺の探検と地図の歴史』 秋月俊幸著/北海道大学図書刊行会 
・『北海道の古地図』 高木崇世芝著/五稜郭タワー株式会社刊

 

 
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