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トドマツ 特集 森林の力
モミの木の精油,説明
トドマツ,オイル,スプレー

トドマツの香り

 「一晩でこんなに降ったのは、ぼくがここに来てから初めてです」
 そういいながら迎えてくれたのは、下川町森林組合の細田直志さん。彼は森林インストラクター(※1)でもあり、10年前から下川町に在住。
 下川町森林組合は、数ある森林組合のなかでも特に事業化が活発で、木炭や木酢液の製造販売、間伐材(※2)の利用などに20年以上前から取り組んでいる。新しいことに挑戦し、それを実現する気風にあふれた組合のようだ。だから細川さんのようにIターンでやって来る人が多いのだろう。

 「まずは体感してみてください」
 細川さんがシューと何かをスプレーした。とたんに部屋中に「森の香り」がただよう。清々しい木の香り、緑の香り、自然の心地よい香り。これが、トドマツの葉を蒸して水蒸気を集め、冷却して液体にしたエッセンシャルオイル(=精油)の香りだった。このオイルは、100キログラムの葉から約1リットルしかとれない。それだけ森の香りが凝縮された液体なのだ。
 眠気がいっぺんに吹き飛んでしまった。
 「森林浴」が体に良いとされるのは、この香りの成分によるところが大きい。植物が出す成分を総称して「フィトンチッド」というが、トドマツなどの針葉樹は、フィトンチッドの中でも「テルペン類」とよばれる成分を多く出している。テルペン類にはリモネン、α-ピネン、ポルニルアセテートなどの多数の種類があり、それぞれに抗菌作用や害虫防除作用、他の植物の生長を妨害する作用などの働きを持っている。
 自分で動けない樹木は、フィトンチッドを分泌することで自らの身を守っているというわけだ。その力は知れば知るほどすごいものである。話が逸れてきた。とにかく、そういう植物の力は人間にも効果をもたらすことが解明され、欧米では「アロマテラピー」という香りの療法が行われている。日本でも最近はずいぶん盛んになった。

 さて、下川産トドマツのオイルには、脳を刺激して気分をリフレッシュさせる成分が多く含まれているという。濃度を薄くして使うと、逆にリラックス効果があるそうだ。消臭効果も抜群で、細川さんいわく「ペットの匂い消しには、このスプレーがあればバッチリ」とのこと。
 下川町では現在、純粋なエッセンシャルオイル(これは薄めて使う)のほか、ルームスプレーやボディオイル、石けん、蒸留水を使った入浴剤、消臭スプレー、トドマツの葉のポプリを使ったクッションなどを製造している。製品の販売は、下川町森林組合の直売(通信販売あり)のほか、札幌や東京方面の専門店にも広がっている。

※1 森林インストラクター:森林を利用する一般の人に、森林や林業に関する解説や案内、野外活動の指導などを行う資格のある人。

※2 間伐材:森を健康な状態に保つために、木を間引くことを「間伐」という。そのときに出来る材のこと。

「森林の基礎知識」もご参照ください。
http://www.hokkaido-jin.jp/issue/200211/basic.html

下川町のホームページ
http://www.shimokawa.ne.jp/yakuba/

下川町森林組合のホームページ
http://www.shimokawa.ne.jp/shinrin/

 
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