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カミネッコン
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東三郎
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カミネッコン
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カミネッコン カミネッコン
ミズナラ,ヤナギ
ミズナラ,ヤナギ

 

カミネッコンで森づくり

「カミネッコン」という名前の不思議な紙のポットがある。
 再生ダンボールを使った組み立て式で、壁部に水でぬらした古新聞をつめて作る。子どもでも簡単に作ることができる。これに培養土と苗木を入れて少し育て、森をつくりたい場所にポンと置くだけ。地面を掘ったり、面倒な世話などはしなくてよい。
 ポットはやがて風化してなくなり、数年後には小さな森ができる。まるで倒木更新の古い大木のように、カミネッコンは小さな苗木を守ってくれるのだ。
 ただし大事なことが一つある。それは『愛情』を持つこと。わたしたちが20世紀の間中ダメージを与え続けてきた森に、愛情をもって恩返しする気持ちがなければ木は育たない。

 カミネッコンの生みの親であり、北海道の森づくりの第一人者である東三郎さんに、これからの森づくりについて聞いた。
 東三郎さんは、砂漠のように荒れた土地や裸地、厳しい海風の吹きつける海岸などに木を植え、森を育てる仕事のプロフェッショナル。何十年も前にかれが手がけたさまざまなプロジェクトが、いまも緑の森として根づいている。

 

 

 

描きつづけた緑の夢

 東さんが森づくりの道へ進んだのは、ある風景が元にあるという。
 戦争の後、焼け野原になったまちだ。その風景を見たとき、東さんは「やすらぎのある緑を取りもどしたい」と思った。そして「砂防学」という学問(治山と治水の学問。その山と水を守るには森が不可欠である)があることを知り、大学へ進み研究を続けた。
 荒れ地に木を植え、森をつくる研究をつきつめていくと、逆に、天然林成立のメカニズムがわかってくる。東さんは、荒れ地でもたくましく育つヤナギの木、ゼロからスタートするその生命力に魅せられて、特にヤナギの研究に情熱を傾けた。
 かつて東さんには、3つの夢があった。
 流氷の押し寄せるオホーツクの海岸に、北海道の木で森をつくること。森林の伐採で水がかれてしまった島に、森をよみがえらせ飲み水を得ること。大都市札幌の近くに、たくさんの野鳥が訪れる森をつくること。それらはすべて達成された。それもまだ、「森づくり」などという言葉が世の中にない時代に。

 「50年前、そんなことは誰も考えませんでした。でも、いまは多くの人が環境問題に関心を持ち、何かしなければと思っています。わたしはいつか、こういう時代がくると感じていました」と静かに語る東さん。

 森づくりは、市民が気軽に参加できて、とびきり簡単で、しかも楽しいほうがいい。そうでなければ、長い年月を要する森づくりはできない。とにかく時間がかかるし、人の手もかかる。お金も少しはかかる。でも、これは仕事じゃない。わたしたちの森への「恩返し」の気持ちなのだ。
 いま、小さな六角形のポットがさまざまな場所に並べられている。たとえば、河川工事の終わった堤防、工事現場や土砂を採掘した跡地、ダム湖の裸傾地、噴火後の火山灰地、土石流の堆積地。
 去年は、北海道よりはるかに気候の厳しいモンゴルでも実験が行われ、苗木は元気に生長しているという。

 緑の夢は、確実に広がっている。

◆森林空間研究所
住所:札幌市中央区宮の森3-11-5-15
電話:011-611-7781

 
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