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和寒町のかぼちゃ

かぼちゃ かぼちゃ
(※1)全国のかぼちゃ生産量のうち、4割以上が北海道産(平成13年度,農林水産省,統計情報部公表)。なかでも和寒町はトップレベルで、作付面積は約530ヘクタールで堂々の日本一

(※2)金谷さんは、町内の生産者23戸で作る「メルヘン部会」の部会長。数年前から「YES! clean」の認証を受けた「花嫁メルヘンかぼちゃ」を生産している。
・「和寒あぜみちクラブメルヘン部会」のホームページ
http://www5a.biglobe.ne.jp/ ̄azemichi/

(※3)キュアリング処理とは、貯蔵性を高め、同時にデンプンを糖に変えて甘みを増加させる高温乾燥処理のこと。

・和寒町のホームページ
http://www.town.wassamu.hokkaido.jp/

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収穫はハサミ1本で勝負

 旭川市から北へ約40キロ、和寒(わっさむ)町へむかった。
 めざすは日本一の「かぼちゃ畑」
(※1)である。
 名寄盆地にある和寒町は、大部分が平野で、周囲になだらかな丘が続く。盆地特有の気象条件により、夏はプラス30度以上、冬はマイナス30度近くになるが、いまは静かな秋の気配に満ちている。
 空気がピリッと澄んで清々しい。

かぼちゃの花 金谷浩幸

金谷浩幸さん

 今回訪ねたのは、お父さんとふたりで収穫作業をしている金谷浩幸さん(※2)の畑。大きな黄色い花が美しく咲いている。

 生い茂る葉をかき分けながら畑に入ると、葉や茎が肌にチクチクと痛い。
 その葉影に、丸まると成長したかぼちゃを発見。ずっしりと重そうで、充分育っているように見える。でも、これは間違いだった。
 「これはまだダメ。ヘタの部分を見てください。ここが青いのは未熟な証拠、茶色い筋が浮き出て、コルクのように固くなったらオッケーです」

かぼちゃ,ハサミ 収穫は、ハサミ1本、すべて手作業で行われる。刃先が少し反り返り、かぼちゃのヘタが切りやすい専用のハサミだ。
 よく見ると、金谷さんとお父さんは少し形の違うハサミを持っている。
 「手に慣れたのが一番使いやすいからね。うちでは、母さんも奥さんも、それぞれ専用のハサミを持っているんですよ。みんな別々の年に買ったから、時代によって形が違うんです」
 長年使い込んだ愛用のハサミを手に、畑にかがみこんで完熟かぼちゃを探す。丁度よい実を見つけたら、1つずつ、ていねいにツルから切り離していく。
 見ているだけで腰が痛くなりそうな仕事だ。しかも、かぼちゃは1玉で1〜2キロもあって重い。これを運ぶのがまた大変である。

かぼちゃ収穫 切り取ったかぼちゃは、そっとコンテナに積み上げ、切り口が乾くまで風に当てる。
 このとき、かぼちゃの表面に傷をつけないように優しく扱うことが大事。乾燥前のかぼちゃは、ゴツゴツした固いイメージとはほど遠く、意外なほど皮が柔らかい。ぶつけたり、落としたりするとすぐに傷んでしまう。
 また、取ったばかりのかぼちゃは、成長が完全に止まっていなので、かすかに発熱している。これを静めるために、キュアリング処理
(※3)をし、倉庫で貯蔵する。最後に、箱詰め前に1つずつブラシで美しく磨きあげる。

 「収穫」というのは、畑から取ることだけでない。
 その後に、おどろくほど多くの労力と、長い時間がかかっている。

 
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