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旭川市から北へ約40キロ、和寒(わっさむ)町へむかった。
めざすは日本一の「かぼちゃ畑」(※1)である。
名寄盆地にある和寒町は、大部分が平野で、周囲になだらかな丘が続く。盆地特有の気象条件により、夏はプラス30度以上、冬はマイナス30度近くになるが、いまは静かな秋の気配に満ちている。
空気がピリッと澄んで清々しい。
今回訪ねたのは、お父さんとふたりで収穫作業をしている金谷浩幸さん(※2)の畑。大きな黄色い花が美しく咲いている。
生い茂る葉をかき分けながら畑に入ると、葉や茎が肌にチクチクと痛い。
その葉影に、丸まると成長したかぼちゃを発見。ずっしりと重そうで、充分育っているように見える。でも、これは間違いだった。
「これはまだダメ。ヘタの部分を見てください。ここが青いのは未熟な証拠、茶色い筋が浮き出て、コルクのように固くなったらオッケーです」
収穫は、ハサミ1本、すべて手作業で行われる。刃先が少し反り返り、かぼちゃのヘタが切りやすい専用のハサミだ。
よく見ると、金谷さんとお父さんは少し形の違うハサミを持っている。
「手に慣れたのが一番使いやすいからね。うちでは、母さんも奥さんも、それぞれ専用のハサミを持っているんですよ。みんな別々の年に買ったから、時代によって形が違うんです」
長年使い込んだ愛用のハサミを手に、畑にかがみこんで完熟かぼちゃを探す。丁度よい実を見つけたら、1つずつ、ていねいにツルから切り離していく。
見ているだけで腰が痛くなりそうな仕事だ。しかも、かぼちゃは1玉で1〜2キロもあって重い。これを運ぶのがまた大変である。
切り取ったかぼちゃは、そっとコンテナに積み上げ、切り口が乾くまで風に当てる。
このとき、かぼちゃの表面に傷をつけないように優しく扱うことが大事。乾燥前のかぼちゃは、ゴツゴツした固いイメージとはほど遠く、意外なほど皮が柔らかい。ぶつけたり、落としたりするとすぐに傷んでしまう。
また、取ったばかりのかぼちゃは、成長が完全に止まっていなので、かすかに発熱している。これを静めるために、キュアリング処理(※3)をし、倉庫で貯蔵する。最後に、箱詰め前に1つずつブラシで美しく磨きあげる。
「収穫」というのは、畑から取ることだけでない。
その後に、おどろくほど多くの労力と、長い時間がかかっている。 |