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広い牧草地に、ロールケーキのような牧草が点在している。いかにも北海道らしい景色だ。この「牧草ロール」は、1個の重さが約350キロ、直径約1.5メートルもあり、一年を通して牛たちのエサとなる。青草のない冬の間もこれがあれば安心。栄養素がたくさんつまった乾草は牛の大好物だ。
牧草の収穫は年に約3回、初夏から秋にかけて行われる。8月末から9月は、ちょうど牧草の「2番刈り」の時期にあたる。晴れた日の午後、札幌市のとなりまち、江別市の百瀬牧場へ向かった。
「草刈り作業はあっという間に終わるからね、よく見ててよ」
牧場のご主人、百瀬誠記さんがさっそうとトラクターに飛び乗った。
トラクターの後部には、「ディスクモア」と呼ばれる大きな草刈り機が付いている(写真1)。刃の部分は、刈った草が飛び散らないようフードでおおわれて見えないが、中で大きな金属の刃が回転している。ウィーンという高い回転音が響く。
地面がゆれて、トラクターがスピードを上げて走りはじめた。時速30キロはあるだろうか。大草原を疾走するトラクターは、勇ましく力強い。こんなに早く走る作業車を見たのは、はじめてだ。
ディスクモアが草をなでるように押さえつけ、牧草地をどんどん進む。トラクターが通ったあとは、草が全部きれいに倒れていく−−と思ったら、そこはもう刈り終えた後なのだ。回転する刃がすばやく草を刈り倒し、それまでヒザ丈ほどあった牧草が平らになっていく。
本当にあっという間に刈り取り作業は終わった。
「牧草はイネ科、マメ科などいくつかの種類があります。草の種類によって熟す時期がちがうので、それぞれ栄養価の高い時期をのがさず刈り取らなくてはいけません。早すぎると収量が少ないし、遅すぎると栄養価が低くなる。見きわめが肝心です」
と百瀬さん。
刈った草は、1〜2日間、そのまま牧草地において乾燥させる。途中で何度か草をかき混ぜ、空気を入れて、ムラなく早く乾燥するようにする。水分がほどよく抜けると、草の香ばしい匂いがする(写真2)。
乾燥を終えたあとは、「レーキ」呼ばれる熊手のような機械をトラクターに取り付け(写真3)、草を一列に集める作業を行う。牧草地に長い乾草の列がいくつもできる。
次に、「ロールベーラー」と呼ばれる大きな機械が登場する。牧草は、収穫量が多いうえに作業する面積が広いので、いくつも専用機械が必要となる。なかでも、これが最も大きな機械で、同じようにトラクターの後部につなげて使う。
トラクターが草の列にそって走り、ロールベーラーのタンクに草を集めていく(写真4)。ある程度走ったところで、タンクの後部がゆっくりと開く。ロール状になった草のかたまりが、卵が産み落とされるようにゴロンと出てくる(写真5)。これで牧草ロールは完成(写真6)。
丸めた草は、そのまま乾草として牛に与えるものと、厚いビニールで梱包して1カ月ほどおいて発酵させ、「サイレージ」というエサにするものがある。牧場で見かける、白や黒、グリーンなどの巨大なビニールのかたまりは、牧草ロールのサイレージなのだ。昔は「サイロ」で行われた作業だが、いまはこのビニール梱包で行われている。
「牛は自分たちで自己管理ができる動物です。エサにしても、タンパク価の高い草を選んで食べたり、そのほかの飼料を食べたり、身体に足りないものが分かるんですね。ぼくらは牛のために、いい草をたくさん作らなくちゃ」
そういって、百瀬さんはまた風のように広大な牧草地へ消えていった。
江別市のホームページ
http://www.city.ebetsu.hokkaido.jp/
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