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芽室町のじゃがいも

森浦政明

森浦政明さん

(※2)同じ作物を同じ畑で作り続けると、土がやせたり肥料の効きが悪くなったりする「連作障害」が起こるため、今年いもを作ったら翌年は小麦、次はビート…と栽培作物を変えるのがふつう。

 

じゃがいも

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収穫のあとは、低温貯蔵で甘味をアップ

 今回訪ねたのは、芽室でいも作り35年の大ベテラン・森浦政明さん。
 息子さんと奥さん、お手伝いの女性2名で、早生品種「ワセシロ」の収穫中だった。大忙しなのに、トラクターを降りて「よく来たねぇ、おつかれさん」とニコニコ迎えてくれた。
 森浦さんの畑は約40ヘクタールもあり、北海道の畑作4品とよばれる、いも・小麦・ビート・豆類を作っている
(※2)
 ここ10年ほど力を入れているのが、北海道生まれのやや細長い「ホッカイコガネ」という品種。じゃがいもといえば、「男爵」と「メークイン」が有名だけれど、それだけと思ってはいけない。芽室町では現在、13品種以上じゃがいもが作られている。それぞれ品種ごとに用途がちがい、生食用、ポテトチップス、サラダ、デンプン原料用など、最適なものを出荷している
(※3)

 森浦さん自慢のホッカイコガネは、皮つきのままくし形に切り、フライドポテトにすると最高。デンプン値が高いのでカラリと揚がり、中はホクホクなのが特長だ。
 森浦さんは長年の経験を生かし、両手に余るほどの特大ホッカイコガネを作り、地元の農協に出すほかに関東のレストランにも卸している。店ではこれを丸ごとベイクドポテトにするという。
 「曙関は、この大きいのを2つペロリと食べたんだって」と森浦さんが笑う。
 おいしいじゃがいもを作るコツは?とたずねると
 「あまり肥料をやらないこと。ここの土地は乾性の火山灰で水はけがよく、ばれいしょ作りに一番向いているから」とのこと。じゃがいもの原産地、アンデスの厳しい気候がじゃがいもの遺伝子に組み込まれているのだろうか。

 さらに、森浦さんには収穫した後にも「技」がある。
 じゃがいもは、収穫後すぐ出荷する分以外は、低温貯蔵倉庫に保管してしておく。貯蔵温度は用途によってちがうが、生食用は10度以下
(※4)。貯蔵しているうちに、いもの中のデンプンが糖に変わり甘みが増す。
 「ひと冬越したじゃがいもは味がよい」といわれるのはこのためだ。
 森浦さんの貯蔵庫には、いもと一緒に大量の「雪」が入っている。冬になり、あたり一面に降り積もった雪を、貯蔵庫に入れて天然のクーラーを作るのだ。
 庫内には、今年の春に入れた雪がまだ残っている。少しずつ溶ける雪の冷気で、温度も湿度もほぼ理想的な環境が保たれるうえ、燃料代もかからない。そして味は最高になる。
じゃがいも  「昔からある氷室(ひむろ)の仕組みだよ」という森浦さん。昔ながらの生活の知恵が、いま改めて見直され、各地で少しずつ広まっている
(※5)


(※3)「芽室町で栽培されている品種とおもな用途」
[品種名] [用途]
男爵いも 家庭用(粉ふきいも等に向く)
メークイン 家庭用(煮もの等に向く)
マチルダ 冷凍加工(家庭用)
ワセシロ ポテトチップス用
トヨシロ ポテトチップス用
スノーデン ポテトチップス用
農林一号 ポテトチップス用
アトランチック ポテトチップス用
ホッカイコガネ フライドポテト、コロッケに向く
コナフブキ デンプン原料
その他、さやか(サラダに向く)、とうや(ビタミンCが多い早生品種)、サクラフブキ(でんぷん原料)等がある。

(※4)ポテトチップス用の貯蔵温度はやや高めで、デンプンが糖化するのを防ぐ(糖は油で揚げると黒く焦げやすい)。しかし温度が高すぎると早く発芽してしまうため管理が難しい。

(※5)雪を使った農作物の貯蔵は、道央の沼田町(スノークールライスファクトリー)や美唄市(雪蔵工房)の米などでも取り入れられている。

 
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