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海鳥の島、天売島 森の島、焼尻島
北海道,イメージ 海鳥の島、天売島 森の島、焼尻島
鳥たちの楽園、天売島

 ふたつの島のうち、まず地図でみると左側のやや細長い「天売島」に降りた。周囲12キロのこの島には漁業を中心に生活する人々が約500人住んでいる。厳冬期のスケソウダラにはじまり、春のコウナゴ、周年のタコのほか、6月20日からはウニ漁が解禁で、島は一段と活気づいていた。

 天売島にはふたつの港がある。その両港と家々が建ち並ぶのは、島のほぼ半分の東側だけ。西側はおそろしく切り立った崖が続いている。人はだれも住んでいない。このけわしい岩場に住むのは、8種類(※2)、約100万羽ともいわれる野性の海鳥たちだ。
 夏になるとたくさんの海鳥がやってきて卵を産み、子を育て、巣立ちをさせ、また遠くへ旅立っていく。繁殖期は4月から8月のはじめまで。エサの豊富な海に囲まれ、天敵から身を守りやすい天売島は、海鳥にとって快適な環境である。
 また、天売島のように人が住む場所のごく近くに、鳥の巨大なコロニー(棲息地)がある環境は世界でもめずらしいという。春と秋は渡り鳥も飛んできて、バードウオッチングには最高の島となる。

 

鳥 鳥,説明
鳥
天売港
鳥 写真提供:北海道海鳥センター<無断転載禁止>

 さっそく島をぐるりと周ってみることにした。
 夏はフェリーの便数が多く(1日4往復)、船が着くたび観光バスが島を一周してくれる。観光船も出る。でも、風が気持ち良いので自転車を借りた。看板には「2時間700円」とあるが、店のお母さんは「好きなだけ乗ってていいよ」と優しい。
 そして、島の地図をくれた。
 とてもシンプルな地図だ。島を一周する道が一本だけ記されている。夏の間は、この道が一方通行となる。左手に青い海を見ながらペダルを踏んだ。

 しばらくは道沿いに家が並ぶ。家の横には必ず小さな畑があって、ジャガイモや大根、枝豆などの野菜と草花が植えてある。大きな庭木は少ない。神社、学校、郵便局、商店、町役場支所などがある中心街を過ぎると、しだいに家が途切れて急な上り坂になった。
 いよいよ海鳥たちの楽園、島の西側に突入だ。細い舗装道路に、白い落下物の痕跡がたくさん見える。どうかこれに当たりませんように、と願う。

 坂が続き、苦しくなって自転車を降りて押して歩いた。
 ウミネコとウグイスの声をききながら、オレンジ色のエゾカンゾウや、エゾスカシユリの咲き乱れる草原を見た。島で一番高い、みんなが「山」と呼ぶ場所から海を見下ろすと、底まで見通せそうなほど透き通って美しい海があった。海鳥観察舎の望遠鏡で、岩場のかげでモコモコと動くウミネコのヒナを見た。目にする色彩の全部がまぶしく輝いて、気が遠くなりそうだった。

自転車で島めぐり
天売島,フェリー
天売島
天売島
花
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