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豊かな日本海の味、みそ味のホッケ-利尻島・礼文島
イメージ ホッケ,説明
ホッケ,ウニ

 北海道でホッケといえば、あまりにも日常的な魚である。
 子どものころ、よく夕飯に「ホッケの開き」がでてきた。とくに何も思わず食べていたが、大人になり東京でそれを食べたとき、「あのホッケは大変においしかったのだ」と思い知らされた。以来、心して食べている。
 現在、北海道周辺のほとんどの海域でホッケ漁が行われている。とくに多く水揚げされるのは、利尻・礼文島周辺、天売島・焼尻島沖合、オホーツク海の羅臼沿岸、紋別沖合、稚内沖合など。なかでも利尻・礼文島のホッケはとくに評判が高い。その理由はどこにあるのだろう。

 一つに、水揚げの時期がある。
 ホッケは成長するにつれて生態が大きく変わる。その成長を順番にみてみよう。
 利尻・礼文周辺はホッケの大産卵場。この付近のホッケは秋に産卵し、12月から1月にふ化する。小さいうちは海の表層で生活し、しだいに沖合へ移動し、回遊しながらエサをとる。泳ぐ範囲は水深100メートルにまで達するという。この時期からホッケ漁が始まるが、これらは<底引き網漁(※1)>でとる。
 その後、2歳ころから回遊するのをやめ、岩礁周辺に定住する。エサはそれまでのプランクトンだけでなく、小魚、魚卵、イカ、エビ、オキアミなどいろいろな種類を食べて丸まると太る。このころになるとほぼ成熟し、「ネボッケ」とよばれるようになり、<刺し網漁(※2)>と<底建網漁(※3)>が行われる。
 利尻・礼文島のホッケ漁は、刺し網と底建網漁が中心。エサの豊富な北の日本海でたらふく食べ、充分に成熟した『大人のホッケ』なので、身が厚く、脂ものっているというわけだ。

 二つめに、島ならではの食べ方がある。
 代表がホッケの「ちゃんちゃん焼き」だ。北海道のちゃんちゃん焼きは、鮭と野菜をみそ味で焼く料理がふつうだが、島では、さきほどのネボッケを使う。
 調理方法はごくシンプルで、とれたてのホッケを開き、長ネギとみそをのせて炭火で香ばしく焼く。尻尾のほうが焦げやすいので、焼けたところから身をほぐし、みそをからめて食べる。生のホッケを焼くとホロリと柔らかく上品な味で、つい皮まで食べてしまう。網の上にのったままアツアツを食べるのがまた美味しい。みそには南蛮などを混ぜてピリ辛味に。これが白身のホッケとよく合う。
 ちゃんちゃん焼きは、礼文島の「ちどり」という食堂が有名だ。ここのホッケは目の前にある香深(かふか)漁港から揚がったばかりのものを使っている。島のホッケ漁は夏が最盛期で、そのあとは産卵をひかえた秋にも盛んになる。こちらは定番の「開きホッケ」にしたり、丸のまま糠をまぶして干す「糠ホッケ」にしたり、麹や野菜と漬け込んだ「飯寿司(いずし)」などに加工する。

 最後に、島から望む青い日本海と空がある。いまにも吸い込まれそうなほど美しい。これを眺めているから、ホッケがさらに美味しくなる(ホッケに限ることではないが)。
 しかし、いつもそうと思ってはいけない。島の自然を撮影するため、十年以上も利尻・礼文に通うカメラマンは言う。「夏の間はとくに霧が出ることが多くて、とにかく待ち時間が長いです。スッキリ晴れ渡る日のほうが少ない。霧の日は花のアップなどを撮りながらチャンスを狙っています」
 しかし、その待ち時間のおかげで、かれは島のいろいろなことに詳しい。銭湯の定休日、ポータブルテレビの映りのいい場所、ウニ丼のハーフサイズを出してくれる店など。もちろん島特有の花の群生地や、アザラシのいる岬、夕陽を見るベストポイントなども。でもここではあえて、それらを説明するのはやめておこう。ゆっくり島を訪れて、探す楽しみをとっておくために。

利尻町   URL:http://www.town.rishiri.hokkaido.jp/
利尻冨士町 URL:http://www.town.rishirifuji.hokkaido.jp/
礼文町   URL:http://www.dosanko.co.jp/rebun/

スコトン岬

※1 底引き網漁…船尾から海底に長い網を沈め、これを船で引き上げて魚をとる漁法。

※2 刺し網漁…海の中に垣のように網を張り、泳いでくる魚を網に絡ませてとる漁法。利尻・礼文島では早朝に網を刺し、朝のうちに引き上げるので新鮮なこと間違いなし。

※3 底建網漁…海底の魚の通り道を狙って網を張り、かかった魚を捕らえる漁法。

 
 

 

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