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奥尻,離島の魅力
奥尻,説明 title=
奥尻,辻売店 島を語り続ける人
 フェリーふ頭ターミナル(地元の人は「駅」と呼ぶ)の二階売店、そこの店長・辻八重子さんは奥尻島初代のバスガイドだった。学校を卒業後、千葉県の会社に就職した八重子さん。同僚に「おまえの島どんなところだ」と聞かれた時、とっさに説明ができなかった。胸張って自分の生まれ育った島を語りたい。そんな思いから、バスガイドになることを決心し奥尻へ帰ってきた。
 初めてガイドしたバスの乗客に、「やめてしまえ」と怒鳴られた。つまらない「語り」だったのだ。それが悔しくて、自分なりの工夫を始めた。「島のお爺さんお婆さんから昔話を聞いて、自分なりにエピソードを加えたガイドを作っていったんですよ」。賽の河原で歌う八重子さんの御詠歌(巡礼の際に唱える歌)は、研究の成果で「ひと味違う」という。
 売店の店長を始めたのは8年前。震災で壊れた店を新装する時に、ぜひにと店長を頼まれた。「ここは島の玄関口でしょ。この店には、観光客を笑顔で迎え、送り出す重要な役割があると思うんですよ」。バスガイドから売店のおばちゃんになった今も、(フェリーの出航時間に合わせて少し早口ではあるが)奥尻島について「語り」は現役である。
奥尻,満島章 新しい魅力を探す人。
 団体観光客の姿が目立つ季節になっていた。島自慢のムラサキウニ漁の解禁(7月15日)を控え、今年2回目のアワビ漁も好調らしい。宿泊施設は8月末まで予約が入り、週末は半年前から部屋が埋まっているという。
 「奥尻観光の次の課題は、新しい方向性を見つけることなんですよ」と話すのは商工観光係長・満島章さんだ。満島さんは奥尻高校を卒業後、1989年に役場に入り企画と観光の分野を担当してきた。はじめて観光課に異動したその年に震災を迎えることになる。「そのころは、いま観光客を呼び込んでも、満足なもてなしができるだろうかという葛藤がありました」。震災直後の島民が、果たして今まで通り観光客を笑って迎えられるのか分からなかったという。
 いまの奥尻観光は、完全に夏型だ。「でも、海のものは年中とれるし、春秋には山菜もあり米の収穫(北海道の離島で唯一)もある。冬の強風だって体験してもらいたいですよ」。あえて夏をはずした奥尻観光の可能性を満島さんは考えている。「夏が終われば、島は『ふだんの暮らし』に戻るんです。ここに離島の魅力にふれるカギがあると思うんですよね」。
 

 

 
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