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  食生活の昔道具   石臼ものがたり
       
 
石臼 石臼


  石臼  開拓当時の人々にとって、石臼の存在は「命を守る」大切な道具であった。そばや麦、ヒエ、粟などを石臼で挽き、それらが人々の主食となった。やせた土地でも育つそばの実を挽きそばがきなどに、飢饉に備え蓄えたジャガイモが凍っても、それを挽き団子にして食べた。また、米を細かく挽き、水と少量の砂糖を加え温めたものを赤ん坊に飲ませたりと幅広く役立った。寒さのきびしい北海道での初めての生活のなかで、人々を食料不足から守り続けたのだ。

 北海道の石臼の歴史を振り返ると、農閑期を利用して北海道向けの石臼を作ったといわれる、佐渡の小泊(こどまり)村が浮かび上がってくる。江戸時代末期から大正 初期にかけて、約2万カラ(カラ:石臼の単位)の石臼が北前船を利用して北海道に出荷されていた。これらを開拓当時の人々が購入し、日々の食生活に役立てていた。
 しかし、なかにははるばる郷里から石臼を持って移住してきた人も多い。未開の地で何が用意でき、何が食べられるのか不安だったのだろう。「石臼さえあれば何とかしのげる…」その思いがずっしりと重い石臼を背負わせたのである。北海道開拓記念館で学芸員を勤める氏家等さんに、当時の石臼にまつわるエピソードをうかがった。 苫前町に移住してきたある夫婦の話である。
石臼 三重県から夫婦がそれぞれ上臼、下臼を背負いやって来た。未開の地での不安にさいなまれながら、持ち込んだ石臼で穀物を挽き飢えをしのいだ。想像以上の寒さにも 耐えた。さまざまな困難を乗り越え、やっとの思いで安定した生活を手に入れたので ある。子どもたちは夫婦の努力と、石臼のありがたさを感じていたのだろう。移住当時の労をねぎらい、その石臼を台座に夫婦の墓を建てた。

 白いご飯をはじめ、そばやうどんなど、食べたい物がすぐに食べられる、現在の豊かな食生活。これらは、先人たちの血のにじむような努力と彼らを支えた石臼があったからこそといえる。
 
いろいろな臼
石臼 豆腐製造用石臼
ゆでた大豆を挽き、ペースト状にする臼。それにニガリを入れ、豆腐を作った。豆腐からは、揚げや厚揚げが作られるので、開拓当時にはかかせない食材のひとつ。

茶臼 石臼
お茶を挽くための臼。北海道にある茶臼は、士族出身者が移住してきた土地に多く残されているため、武士や商人などの上流階級の人々が使用していたと思われる。

土臼(どうす) 土臼(どうす)
土ズルス、泥臼ともよばれる、籾すり用の臼。上臼の回転により、籾皮がはがれる構造になっている。摺り歯を塩やニガリなどを混ぜた土で固めたことから、この名が付いた。

 

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