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中島興世
◆インタビュー・地産地消のすすめ
地産地消,説明 ジャガイモ
恵庭市立図書館 館長 中島興世(なかじま・こうせい)さん
1946年樺太生まれ。北海道大学法学部卒。恵庭市役所まちづくり研究会、恵庭市の「田舎倶楽部」世話人、北海道地域づくりアドバイザー。97年3月北海道新聞に投稿した「食べ物は地産地消で!」が反響をよんだ。



Q 「地産地消」は文字で見ると、イメージしやすい言葉ですが、その具体的な意味を教えてください。

A  地域で採れたものを、その地域の人たちが食べたり、加工したりすることをいいます。地域で採れたものだから新鮮なのはもちろん、同じ風土の中で育った人間と食べ物の相性はいいはず。「四里以内で食をとれ」という昔の言葉があります。これも「地産地消」の意味に似ていて、消費する場所が遠いと鮮度が落ちるし、出来立ての味が損なわれてしまう。自分の地域のものなら、新鮮で栄養価もたっぷり、自分の舌に合っておいしく食べられるということです。


Q 中島さんが「地産地消」という言葉に初めて出会ったのはいつですか。

A  もう8年ほど前、島根県のコンサルタント業の知人が農業基本計画を立て、その基本理念として「地産地消」を掲げました。初めて聴いたときはときは衝撃的だったなあ。「身土不二」(しんどふじ・身体と土は分けることができないという意)という言葉もあるけど、「地産地消」の方がわかりやすく、ピンと来るでしょう。


Q 現在の農業では、生産者と消費者はどのような関係にあるのでしょうか。

A  生産者と消費者の間には暗くて深い溝があります。その克服には時間がかかります。時間をかけないといけないのです。消費者と生産者の交流などというと、なんとなく響きが良いものですから、うまくいくと考えがちですが、生産者から信頼を得ることは容易なことではありません。今までのように、生産者に消費者への奉仕を求めるのではなく、逆に、消費者が生産者を「支える」ことを考えるべきなのです。


Q 「地産地消」の取り組みは北海道各地で、さらには秋田、岩手、三重、大分、宮崎などの各県で広がっています。

A  そうですね。かつての一村一品運動は、極論でいうと最終的な着地点は東京市場で成功することなのかもしれません。これに対して、地産地消は地域内での流通を盛んにし、それぞれの地域が豊かになろうということで、これはとても大切なことです。北海道の地産地消の取り組みは全国に急速に広がり、幅広く国民運動に発展する可能性を示しています。


Q 恵庭市の消費者や生産者の方々とアメリカ・カリフォルニアのCSA(Community Supported Agriculture= 地域が支える農業)を訪問されました。そこで最も共感されたことは。

A  CSAは消費者が農家から前払いで直接農産物を買い取り、消費者は農家とともに恵みとリスクを分かち合うシステム。市場で価格が高騰しても追加の支払いはなく、また天災などで農産物が少なくなる可能性もあります。一方で、農家は収入が保証されるので、市場の動向を気にせず、取り組めるし、消費者は安全で新鮮な野菜を手頃な価格で継続的に入手できる。野菜は会員がピックアップ・ポイントまで取りに行きます。日本のような個別配達はありません。そこで消費者が参加していくことが大切なのだと教えられたのです。しかし「取りに行く」といってもアメリカは広大ですから、農家まで行くのがたいへんです。CSAは消費者と生産者がともに暮らす日本にこそ、適した仕組みといえるでしょう。


Q では私たち消費者が、地産地消を実行するには、どうしたらいいのでしょう。

A  それはたいへんに時間のかかることで、すぐに結果が出るものではありません。ただ、私たちはもっと生産者に協力し支えていくことが必要です。今までの「消費者は神様」という概念は、もうやめにしなければいけません。
 じゃあ具体的には、畑仕事を手伝う? いや、素人が農作業を手伝うなんて、農家のじゃまになるだけ。農家の人たちがやってほしいことは何かを考えることですよ。例えば、農作物をPRするチラシ作り、パソコンで顧客管理、商品企画など、自分の得意分野で、できる範囲で農家に協力すればいいんです。それが農業に参加するひとつの方法だと思います。


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