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特集 雪の楽園<パラダイス> 北海道人トップページへ
雪の美術館をたずねて 雪,美術館,北海道
雪の美術館,説明


  幻想的な雪の世界に降りる
雪の美術館,階段 美術館玄関から入ると、すぐに64段のらせん階段がある。上へのぼるのではなく、下へむかう階段だ。ゆっくり降りていくと六角形の噴水の広場についた。地下18メートルという深い場所に来たせいか、いたるところに飾られた美しい雪のモチーフのせいか、周囲がとても静かに感じられる。地上のあらゆる雑音がすっと遠くに消え、神秘的な雪の世界に降りてきたようだ。
雪の美術館 最初の展示物「氷の回廊」は延べ60メートルにおよぶ長い回廊で、巨大な氷の造形を見ることができる。青白く波打つ氷の柱はまさに自然の力を利用した芸術品である。自然界にはありえない造形だが、あたかも自然にできたかのように、見る者を力強く圧倒する。ガラス1枚へだてた向こう側は気温マイナス20度。しかし氷は、いくら低い温度にあっても少しずつ空気中に蒸発していくため(これを昇華という)、館では一年に一度氷をすっかり作り替えるという。たいへんな作業だ。

雪の美術館  「スノー・クリスタル・ルーム」と名づけられた部屋は、雪の結晶写真で埋めつくされている。写真はすべて、大雪山系で長年にわたって雪の研究をつづけてきた北海道大学低温科学研究所の故小林禎作教授と、そのあとを継ぐ古川義純助教授が撮影したものである。
 自然界の雪の結晶はひとつとして同じ形がない。なぜこんな形ができるのか、あらためて考えると不思議な気がしてくる。だれに見せるわけでもなく、やがて跡形もなく消える結晶がこんなに華やかで美しいのはなぜだろう。たとえば、花が美しいのは虫を誘い花粉を運ぶためであるように、雪にもそうした必然性があるのかもしれない。

 館内には中谷宇吉郎博士の資料も多数展示されている。また映画館のようにスクリーンをしつらえた部屋もあり、映像で大雪の四季を観ることができる。
 美術館の中央は座席が200ほどもある大音楽堂になっていて、ステージでは様々なコンサートや講演会が開かれ、ときに結婚式が行われることもあるという。天井は円形のドームで、「北の空」と題した壮大な天井画が描かれている。いつのまにか、地下深くにいることをすっかり忘れていた。この広さと天井の高さのせいだろうか。

 こうした展示や音楽堂、ギャラリーなどとは別に、この美術館を楽しむポイントがもうひとつある。それは館内の照明や家具、階段の手すり、窓ガラスの模様など、こまかな装飾の美しさである。ひとつずつをよく見るとどれも雪の色や形をイメージさせるデザインで、すべてこの館のために作られたという。デザインは「優佳良織」の織元である木内綾さんによる。
 そもそも雪の美術館が生まれたのは、木内さんと小林教授の古い交流がきっかけだった。
雪の美術館

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