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  黄金山,北海道,イメージ
根元 縄文造形家・猪風来の精神
黄金山,北海道,イメージ 猪風来,写真
文/森浩義・写真/並木博夫

   浜益村、黄金山は正面から望むと富士山にも似た優美な山容を見せるが、国道241号線を当別方面に進み、山の側面に回り込むと、背後に隠れていた急峻な稜線が姿を現し、その表情を一変させる。
 標高739.5メートルと決して高い山ではないが、忘れがたい強い個性を持った山である。浜益村の歴史をひもといてみると、はたしてこの山は、アイヌ民族の聖地であって、数々の伝説に彩られた山であったことがわかる。
 縄文造形家、猪風来が、この山の麓に千葉県から居を移し、今年で15年たった。
 黄金山との出会いは、運命的なものであったという。

  黄金山,北海道  「石狩から浜益に向かって国道を走っていたら、途中から砂利道になってしまったんだね。これはいいぞ、と思った。国道が砂利道であるくらいならば、当分、文明は追いかけてこない。
 そして浜益川を黄金山に向かって入り込み、ふと山を見たときに、夕日で本当に金色に輝いて見えたんだね。
 『あっ、自分はここに住むことになっているんだ』と思いこんでしまったんだ。勝手にね。
 それから、誰の所有なのか、借りられるんだろうかと、このあたりを訪ね歩いた。そうすると一軒の農家で出会ったばあさんが『あんたが、来るのはわかっていた』と言うんだね。
 わしと出会う少し前に、ばあさんは青森県の恐山へ、死んだじいちゃんに会いに行ったそうだ。潮来(いたこ)を通して、じいちゃんが出てくると『もうじき、若い男が訪ねてくる。そいつはいい奴だから、助けてやれ』と言ったというんだね。それから間もなく、わしが訪ねて行ったから、『あっ、来たぞ』と思った、というわけだ」。

 

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