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北海道人特集−「となりの北海道人」
文・写真/大藤紀美枝
子煩悩で長寿の血筋は脈々と

「私のお父さん」 in 釧路市丹頂鶴自然公園

 全長約140センチ、翼を広げると240センチにも達するタンチョウが、青く晴れ渡った空を飛ぶ姿は壮麗で雪原に舞うさまも格別に美しい。日本では北海道東部などに生息し、一時絶滅の危機に瀕したが、地元の人々の保護活動などにより、個体数約1,000羽を数えるにいたっている。釧路市丹頂鶴自然公園(通称:鶴公園)でタンチョウの人工ふ化・飼育を成功させるなど、半世紀にわたりタンチョウの保護・増殖に尽力する同園名誉園長の高橋良治さんにタンチョウの特性について伺った。

プロフィル タンさん(30)=タンチョウ、釧路市出身、釧路市在住

雌と思ったら雄だった。そんなエピソードも

外敵に威嚇の発声をするタンチョウのペア。左が雌、右の深さ30センチのプールに入っているのが雄。外見はそっくり

外敵に威嚇の発声をするタンチョウのペア。左が雌、右の深さ30センチのプールに入っているのが雄。外見はそっくり

―タンチョウは、外見からは雌雄の見分けがつきませんね。

 「鳥類の中には雌と雄の区別がはっきりしているものが結構いますが、タンチョウは雌雄そっくりなんです。何もかも手探りだった開園当初(昭和33年)、こんなことがありました。飼育していた4羽のタンチョウのうち、体つきがなんとなく雄と思われるものにタロ、ジロ、雌と思われるものに花子、愛子と名付けて世話していたんですが、ケージの中に飛来した野生のタンチョウの背中に愛子が乗って交尾したんです。残りの3羽も同様の過程をたどったんで、すべて雄であることが判明しました」

―驚いたでしょう。

 「いやぁ、びっくりしました。飼育しているタンチョウのケージに、野生のタンチョウが飛来して、ともに鳴くとき、飼育しているタンチョウたちが『コォーッ』と1回長く鳴くのに対して野生のタンチョウたちは『コッコーッ』と短く鳴くから、もしや……と思ったりもしてましたけどね。なぜならタンチョウは、雄の1声に雌が2声ないし3声でつづく“鳴き合い”をして、“つがい”形成にいたるんです」

―鶴公園の現在の飼育数は。

 「飛来した野生のタンチョウもふくめて19羽です。もともと飼育しているタンチョウは片方の初列風切羽を調整していますから、自然界に飛んで出て行くことはできません。だから“つがい”になると野生のタンチョウが園内に移り住んでくることになります。タンチョウの夫婦は生涯連れ添い、片方が死んでもその死骸が見えている間はそばから離れません。雌雄交代で卵を温め、雄も子育てにかかわります。雌が“けが”をしたり死んだりした場合、雄だけで子育てをすることもあります」

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