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北海道人特集−「となりの北海道人」
文/大藤紀美枝 写真提供/旭川市旭山動物園
強いだけでは率いていけない、モテなければ父にはなれない

「私のお父さん」in旭山動物園

 たてがみは立派だけれど本当に強いの? 2006年の冬、旭川市旭山動物園発で報じられたライオンの画像を見て、そう思った人もいたのではないだろうか。初対面のわが子に近づいて行った父親が、「この子のそばに来ないで!」とばかりに母親に威嚇され、引き下がる姿に、「百獣の王」の誇りは見当たらない。「彼は雄の役割を心得ています。それは、なかなかのものです」と言う坂東元副園長に、知られているようで案外知られていないライオンの生態について伺った。

プロフィル アキラさん(6カ月)=ライオン、旭川市出身、旭川市在住

雪景色の放飼場で父と子が対面、そのとき母は……

アキラの父・ライラは1996年生まれの11歳。美しいたてがみを誇る立派な雄ライオン

アキラの父・ライラは1996年生まれの11歳。美しいたてがみを誇る立派な雄ライオン

―父親のライラが子どものアキラと初めて会ったとき、母親のレイラはかなり神経質になったようですね。

 「ガーッと唸っていたでしょう。あれは生まれて間もない子を、雄に急に近づけたくないという雌親の本能からくるものです。雌は母親になると俄然強くなるんです。ライオンはネコ科で唯一、群れを作って生活し、雌は群れから少し離れたところでお産して、子どもがある程度動ける大きさになったところで群れに戻ります。この“戻るタイミング”が極めて重要で、タイミングを外すと雄が子どもを殺してしまうことがあるらしいんです。飼育下で母子と父親を会わすのは、飼育係に委ねられていますから、毎回、注意深く観察してそのタイミングを図ります」

―雪が積もりシバレも厳しい旭川で、ライオンの飼育は苦労が多いのでは。

 「本来アフリカに棲んでいますからね(笑)。本当は暖かい時期に産ませたかったんですけど、こちらの予定どおりには交尾してくれなくて、出産が10月になってしまいました。親子の対面のタイミングを図りつつ、雪と寒さを考慮して12月末にアキラを放飼場に出したところ、雪の上を元気に走ってひと安心しました。きょうだいがいれば、じゃれ合って多少の寒さは平気なんですが、アキラは一人っ子ですから、そうした点にも気を使います」

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