HOME > 北海道人特集−「となりの北海道人」 ページ2

北海道人特集−「となりの北海道人」

父にも子にもびっくり仰天のエピソード

−今、このプールではガンタロウの他に3頭のトドが泳いでますね。

小樽市祝津にある、おたる水族館。ガンタロウが侵入してきたと目される方向を示す角川さん
小樽市祝津にある、おたる水族館。ガンタロウが侵入してきたと目される方向を示す角川さん

 「雌2頭と、そのうちの1頭とガンタロウとの間に生まれたキンタが泳いでいます。キンタが生まれて間もないころは、父・母・子が寄り添って寝たり、キンタがガンタロウの背中に乗ったりもしていました」

−雄1頭に対して雌2頭。うまくいっているのですか。

 「ええ。トドは一夫多妻ですから。野生のトドは、発情期(5、6月)になると交尾するために岩場に上陸するのですが、そのとき雄同士の小競り合いがあって、他の雄を追い払って居座ったのがハーレムを作ります。時には1頭の雄に対し十数頭の雌がいることもあります。うちには現在トドが13頭いますが、子が産める大人の雌は、この2頭だけで、それぞれがガンタロウの子を産んでいます。野生のトドでもハーレムを作るときには、ガンタロウ親子がそうしていたように、父・母・子が一緒にいる光景が見られるそうです。しかし、トドの生態研究は、いまだあまりなされていないので、わからないことがたくさんあるんです」

ガンタロウ(左)、母のカキ(後ろ)と体を付けて眠る生後間もないころのキンタ(写真提供:おたる水族館)
ガンタロウ(左)、母のカキ(後ろ)と体を付けて眠る生後間もないころのキンタ(写真提供:おたる水族館)

−キンタは、お母さんよりも小さいですね。

 「もうすぐ3歳になりますが、まだ子どもです。ときどき母親に寄り添っていたりするから、ちょっと甘えがあるのかもしれません。キンタは活発で好奇心が強いので、その特徴を生かしてショーに出そうと、離乳後、隣のプールで個別にトレーニングしていたんです。ところが、いつの間にか、このプールに戻っているじゃないですか(苦笑)。大型低気圧がきたとき水位が上がって、乗り越えられないはずのフェンスを乗り越えたんですね。ガンタロウにも驚かされましたが、キンタにも驚かされます」

ショーでトドの自然な行動を披露し理解を深める

−おたる水族館のトドのショーはダイビングあり逆立ちありで人気がありますね。ガンタロウも出るのですか。

 「ガンタロウは出していません。多くの人にトドの自然な行動を知っていただくのがショーの目的ですが、トドにも向き不向きがあるので、幼いときから調教管理をした個体を出しています。野生のトドは岩場に上陸するとき、水面からポーンと跳ね上がります。トドはアシカの仲間では一番体格がよく、海に飛び込むと豪快な水しぶきが上がります。そうしたシーンをショーで再現しますが、餌付けしているからといって飼い犬のように人間になついているわけではなく、調教管理担当者は常に緊張感を持って接しています」

−キンタの今後は。

 「ショーでの活躍が期待される個体ですから、時期がくれば隣のプールに移し、再度1頭だけで調教管理することになると思います。早く一人立ちしてくれることを願っています(笑)」

−野生のトドを取り巻く環境は、かなり厳しいようですが。

カキのそばには寄ってもガンタロウのそばには寄らずに泳ぐキンタ。2007年7月で3歳に
カキのそばには寄ってもガンタロウのそばには寄らずに泳ぐキンタ。2007年7月で3歳に

 「トドは海の食物連鎖においてかなり上の方にいる海獣で、世界的に見ると非常に数が少なくなってきています。保護に力が注がれる一方、網を食い破って漁業被害を与える有害な海獣として駆除されてもおり、漁業と保護の両立について、より具体的に考え実行していかなければならない状況にあります。水族館としては、これまで努めてきたようにトドの生態や生理について研究し、共存に貢献していくことが大切であると考えます。これだけの頭数のトドを飼育しているところは、水族館という形態に限らず世界的に見て珍しいとのことですから、アメリカやロシアの研究者とも連携し、研究活動を広げていきたいと思います」

このページの先頭へ


特集メニュー

特集・連載バックナンバー

  • ▽北海道人の過去特集はこちらからご覧いただけます
    特集・連載バックナンバーへ