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「心でつくる」

園の内外が協力し、 生み出される品々……『浦河向陽園』

文・写真/大藤紀美枝

牧歌的な浦河向陽園の敷地内には、映画『北の零年』のセットを復元した建物(手前)も↑牧歌的な浦河向陽園の敷地内には、映画『北の零年』のセットを復元した建物(手前)も

蹄鉄磨きは主に木工班の小越勇さん(左)、浜浦健さん(中央)、小野征彦さんらが担当↑蹄鉄磨きは主に木工班の小越勇さん(左)、浜浦健さん(中央)、小野征彦さんらが担当

電動工具を使って磨きの仕上げをする若林昌信さん。丁寧な仕事でより一層ピカピカに↑電動工具を使って磨きの仕上げをする若林昌信さん。丁寧な仕事でより一層ピカピカに

リサイクルして新たな商品に。写真左から輓馬・冬用、サラブレッド、輓馬・夏用の蹄鉄↑リサイクルして新たな商品に。写真左から輓馬・冬用、サラブレッド、輓馬・夏用の蹄鉄

浦河向陽園向が丘分場での三石昆布の加工作業。乾燥昆布が見る見る袋詰めされていく(写真提供:浦河向陽園)↑浦河向陽園向が丘分場での三石昆布の加工作業。乾燥昆布が見る見る袋詰めされていく(写真提供:浦河向陽園)

浦河向陽園が地元漁協から引き継いだ不用魚捕獲作業。ボランティアの協力で手際よく(写真提供:浦河向陽園)↑浦河向陽園が地元漁協から引き継いだ不用魚捕獲作業。ボランティアの協力で手際よく(写真提供:浦河向陽園)

リサイクルしてラッキーアイテムに

 日高管内浦河町は日本一のサラブレッドの産地である。馬のまち・浦河ならではの商品で、知る人ぞ知る“贈って喜ばれるモノ”がある。蹄鉄を戸口に取り付けると魔よけになり、幸せを呼ぶという欧米の言い伝えにちなみ、『幸せを呼ぶ蹄鉄』と名付けられたその品は、競走馬(サラブレッド)が実際に使用した蹄鉄で、アルミニウム合金だから重量約 75 gと思いのほか軽い。北海道日高装蹄師会から不用になった蹄鉄を払い下げてもらい、町内絵笛にある知的障害者更生施設 浦河向陽園(社会福祉法人 浦河向陽会)の利用者が手作業で磨き上げている。
 訪問時、園内木工班作業所で 3 人の利用者が汚れを落としていたのは、重量 600 gから 650 gもある輓馬(ばんば)の蹄鉄で、鉄製だからサビも目立つ。
 「磨くの大変ですね」と声を掛けると、「蹄鉄がきれいになって楽しいです」とワイヤーブラシを持つ手を休めず答えてくれた。輓馬の不用蹄鉄加工は、ばんえい競馬関係者の協力により実現したもので、商品化し平成 19 年 4 月 27 日から販売開始する。
 同園は利用者個々の就労支援計画にのっとった取り組みとして『幸せを呼ぶ蹄鉄』などの製作を行っているので量産はできないが、常に創意工夫し“こだわりの商品づくり”に励んでいる。

開かれた施設は得るもの多い交流の場

 浦河向陽園は知的障がいのある人たちが、入所または通所して日常生活における自立と社会参加のための訓練を行うことが目的の施設である。利用者個々の就労支援計画にのっとって製作しても、買い手が付かずただストックしておくだけでは本来の目的が完結しない。また今日、利用者の経済状況は厳しいものがある。
 そうした中、「浦河や北海道の特色を生かした“売れる商品”を作ろう」と、同園に提案する人が現れた。同町で料理店を営む梶田晴之さんである。彼は不用蹄鉄の再利用の道筋をつけ、それがきっかけとなり、同園の利用者、職員が力を合わせて『幸せを呼ぶ蹄鉄』が生まれた。
 「当園の利用者は畑作、園芸、木工、手工芸などに取り組んでおり、支えてくださる周りの方々には心から感謝しています」と言う菅原克一施設長は、町内の団体や企業、地域住民と園との交流、協働を積極的に図っている。
 平成 17 年には、映画『北の零年』の撮影に使われたセットを譲り受けて、ボランティアを買って出た町内の建設会社と同園の利用者、職員とで敷地内に復元し、多目的に利用できる施設の財産が誕生した。
 また、三石昆布の加工作業は、地元業者との協働により長年にわたる授産作業となり、同 18 年には元浦川での不用魚捕獲作業(注 1 )を地元漁協から同園が引き継ぎ、漁協組合員らボランティアの協力を得て網を入れ、サケを約 5000 匹捕獲し水産加工業者に卸したりもした。
 働いて収入を得る経験を通じて学ぶことは多い。「仕事とはこういうものだ」と理解が深まるにつれ、我慢強くなってもいくし続ける気力もわいてくる。商品が売れるのは、“労働に対する評価”だと受け止めることで利益プラスアルファの喜びも生まれる。
 「サビついた蹄鉄をよくここまで光らせてくれたねって声を掛けると、笑顔で応えてくれる。あの笑顔、すごくいいですよ」と語る梶田さんの言葉に、施設の支援、利用者との交流を通じて、地域の人が得るものも大きいことがわかる。

※注1)浦河町の元浦川では、平成 9 年から元浦川活性化委員会によるサケの有効利用調査(北海道から特別採捕許可を取得)を実施しており、その休漁日に不用魚の捕獲作業を行っている。


『幸せを呼ぶ蹄鉄』購入のお問い合わせ先

浦河向陽園
北海道浦河郡浦河町字絵笛426-1

電話:0146-22-0239 FAX:0146-22-0253

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