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イメージ 北海道新移民ものがたり
シェフ,フレンチ,メッセージ
美しい自然が、気持ちを大らかにしてくれる北海道。料理人として、豊かな食材も魅力です。
シェフ,フレンチ,西岡直輝
1966年、東京都生まれ。幼少時からの料理好きが高じ、独力で調理師資格を取得。東京・新宿にあるワシントンホテルの宴会場で13年間、恵比寿にあるウェスティンホテルでは仏料理のセカンド・シェフとして1年間活躍。2000年、知人が仏料理店を開くにあたり札幌へ。2002年2月に独立し、札幌・ススキノで居酒屋「桜新町」を開店。
  ――東京生まれで、シェフとなっても東京で活躍されていた西岡さんが、北海道へ移られたきっかけは何ですか。

 学生時代にバイクで北海道を旅行したことがあるんです。札幌、小樽、函館方面をひとりで周ったんですが、自然の美しさやゆったりとした時間の流れ、食べ物のおいしさなどに強く惹かれました。出張で再び来たときも、その気持ちは増すばかり。将来は北海道で暮らしたいと思うようになりました。なので知人から「札幌で仏料理レストランを開店するので、シェフとして来てほしい」と言われたときは、迷うことなくOKしました。

  ――札幌で厨房に立って、北海道ならではの味付けや素材など、東京との違いは感じられましたか。


シェフ,フレンチ,メニュー  最初に勤めた新宿のワシントンホテルでは、勤続のご褒美としてフランスに行かせてもらいました。パリの商工会議所が主催するフェランディー校で1カ月間研修を受け、ディプロメという卒業証書もいただいたんです。
 その証書を手に次は自分の好きな店へ2カ月間、厨房での修行をさせてもらいました。僕は魚料理専門店を選んだのですが、調理人としてのプライドの高さ、ソースや素材を活かす仏料理ならではの手法など、学ぶべきところがたくさんありました。
 そんなわけで、魚の調理に関しては少なからず自信があったのですが、札幌に来て意外なことで苦労しました。それは、「魚介類の鮮度が良すぎる」というぜいたくな悩み。素材そのものの味わいが豊かなので、それまでと同じソースだと負けてしまうんです。
 スーパーマーケットにでも、生の北寄貝が売られている土地柄。東京では考えられないことです。北海道の食材のパワーと豊かさに、あらためて感心しました。また関東に比べ、全般に甘味を好む傾向があると思います。味付けはその点にも考慮して、お客様に喜んでもらえる工夫をしました。

  ――フレンチのシェフから、今年2月には居酒屋のご主人に。思い切った転身ですね。


シェフ,フレンチ,家族  オーナーである知人が仏料理店を閉めることになり、独立を決めたんです。ほかに就職口もありましたが、東京に戻る気にはなりませんでした。本籍も北海道に移していましたし、何より家内の存在が大きかった。彼女は天塩出身の道産子ですし、息子も生まればかりでしたから。

 いまでも「なぜ居酒屋を?」とよく質問されるのですが、フレンチでも和食でも、料理を作る基本や愛情は変わりはありません。それから、お客さまの反応を直接見ながら料理を作ってみたい、と思っていたんです。以前の店がススキノにあったため、手軽に食べられ、いろいろな料理を提案することがお客様に来ていただく秘訣だと感じました。
 その気持ちを形にしようとしたら、レストランではなく居酒屋になっただけです。メニューも和洋中、常時50種類以上のものを用意しています。パスタやカレーライスなど、居酒屋らしからぬメニューも人気です。またより良い食材を求めて、生産者と直接交渉をすることもあります。この食の宝庫・北海道にいて、素晴らしい素材を使わない手はありませんからね。

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