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北海道新移民ものがたり
沖縄,北海道,メッセージ
大好きな北海道で暮らしながら、ふるさと沖縄に、なにか恩返しができればいいと思います。
沖縄,北海道,宗方史子
1955年、那覇市生まれ。高校を卒業するまで那覇で暮らし、その後東京の学校へ。卒業後は東京で3年間会社に勤務、結婚を機に札幌へ移住。「北海道での生活が沖縄より長くなってしまいました」といいながら、ご両親のいる沖縄のこと、お子さんと一緒に住む北海道のことなどを語ってくださいました。現在は<沖縄県北海道事務所>にお勤めで、沖縄の観光案内やさまざま情報提供を行っています。
  ――沖縄から北海道へ移られたときに、驚いたことは何ですか。

 私が初めて札幌に来たのは12月で、雪が降っていたんです。そのとき、雪が本当に「しんしんと静かに降る」ということに驚きました。東京でも雪は見ていたのですが、それとはまるで違います。とてもきれいで、静かで、毎日ずっと見ていても飽きないくらいでした。それが来て最初の年です。
 次の年は、「雪はたくさん積もったら片づけないといけない」ということがわかってきて、これは大変だと思いました。「雪をなげる」っていいますよね。この意味がやっとわかりました。それから数年たって、雪にはすっかり慣れました。冬の寒さも大丈夫になり、“北海道人”になったと思います。


  ――北海道と沖縄との言葉や習慣の違いは感じられましたか。

沖縄,北海道,オキナワンナイト 言葉は、ちょうど私たちの年代から、本来の沖縄の方言を話すことが少なくなってしまったので、それほど違和感はありませんでした。島のほうではまた違うと思いますが。
 私が小学生のころ、学校の標語で「共通語を使いましょう」と言っていました。戦後は、沖縄から内地へ集団就職をする人たちが多く、そのときに「言葉」は大きな壁になっていたのです。私たち子どもが、お年寄りに方言で話そうとすると、「おまえらは無理に方言を使わなくていいよ。私たちが合わせるから」と、私たちが将来困らないように言ってくれたのを覚えています。
 最近は、テレビやいろいろな場面で沖縄の方言が紹介されて、見直されてきていますね。私も沖縄に帰るとすぐにイントネーションは変りますよ。
 習慣で驚いたことは、いろいろありますが…。たとえば、北海道の方は、お花がとても好きですね。立派な温室を作ったり、株分けしてプレゼントしたり、どこの家庭にいっても室内で花を大事に育てています。それが沖縄では全然違って、花は「何となく自然に咲いているもの」という感覚なんです。気がついたら、庭先にカトレアやブーゲンビリアの花が咲いている。島バナナやアセロラ、パパイヤなどが知らない間に実をつけている。でも、北海道で長い冬を過ごしてみると、花を大事に育てる気持ちがわかりました。


  ――今のお仕事をはじめたきっかけは。

沖縄,北海道,宗方史子 この事務所の県出身の前任が辞めるので、後任も県出身者を、と探していたときに、声をかけていただいたのです。以前は北海道の方だったのですが、土地感や事情がわかる沖縄出身者のほうが、やはり向いているのではないか、ということで。自信はなかったのですが、私でお役に立つのならとお受けしました。
 以前は、育ててもらった土地を出て、ずっと故郷のために何もしていないのが、何となく心苦しい気がしていたのです。沖縄でいろいろな事件があり、みんなが心を痛めながらがんばっている時に、どうして私は北海道にいるんだろう…と思ったこともありました。
 でも今は、少しは沖縄へ「恩返し」ができているかなと思えるようになりました。私たちは一人一人が「沖縄の外交官」という気持ちで、沖縄の素晴らしさをできるだけ広く知ってもらえるように努めたいと思います。ふるさと沖縄のために、なにか役に立つことができればうれしいです。


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