HOME > 連載【となりの北海道人】『私のお父さん』第38回

連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第38回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■187『父の肩こりをなんとかしたい』

鈴木香織さん(24)=イタリアンレストラン・ホールスタッフ、札幌市出身、札幌市在住

 ―お店(イタリアンレストラン・パライゾ)に勤めて約3年。なぜこの仕事を選んだのですか?
 トリマーの養成などペット関係の専門学校に通っていたのですが、居酒屋でアルバイトをしたとき、私は接客業が天職だと思ったんです。このお店にはこだわりがあるところに惹かれて応募しました。将来はドッグカフェを開きたいなと思っています。
 ―具体的な将来の夢をお持ちですね。しっかりしているところはお父さんゆずりですか?
 あんまりしっかりしてないんですけど、ここで働いて鍛えられましたね。父ゆずりのところは、がんこで負けず嫌い、やろうと思ったことを貫こうとするところかな? 小さいときはよく似てるって言われました。寝るときのポーズが大の字のところとか(笑)。ふとしたしぐさが似てるらしいです。
 ―お父さんは50代後半。今後、してあげたいことは?
 両親ともに肩こりがすごいんです。シェフの知人が肩こりによく効く薬を知ってるらしいので、それでなんとか楽にしてあげたいです。

(杉本真沙彌)

■188『おやじとの思い出は少ないね』

藤田修司さん(57)=喫茶店経営、留萌市出身、札幌市在住

 ―お父さんと暮らした期間が短かったとか。
 私が3歳のときに母親が亡くなって、旭川にいるおやじの兄弟のところに預けられたからね。再婚して留萌にもどって一緒に暮らしたけれど、一年で離婚して。そのあと再婚するまで旭川に預けられたから……。83歳まで生きたけど、4、5、6歳、小学校の1年から3年まで、高校の3年間で合計9年間だけ、おやじと暮らしたのは。
 ―お父さんとの思い出というのは。
 3歳のとき、親子三人で東京に行ったことを憶えてるよ。連絡船の中でおねしょした記憶(笑)。おやじと何かした記憶ってほとんどないんだよね。旭川に預けられていたときに裏山で一緒にスキーをしたこと、夏休みに留萌で船に乗って、おやじが採ったウニを食べさせられたことくらいかな。入学式とか卒業式にはいつもおやじが来てくれた。高校で停学になったときもおやじが学校に来たよね。でも、怒られたりはしなかった。親戚のところに二回も預けていたから、悪いなという気持ちがどこかにあったんだと思うよ。面と向かっては言いづらかったんだろうね。

(杉本真沙彌)

■189『ものづくりの魅力を教えてくれた父』

三島千枝さん(36)=木工職人、札幌市出身、札幌市在住

 ─お勤めを辞めて実家の仕事を手伝ったのが、職人になるきっかけだったとか?
 百貨店で販売の仕事をしていたんですけど、もの作りの技術力や品質よりもブランドで商品が選ばれるのが疑問で……。家具作りの修行をするつもりで実家に戻ったものの、ド素人にはそうじと犬の散歩しかできることがない(笑)。見よう見まねで小物を作り始め、今はそれらを販売する「空沼工房」というネットショップを担当しています。
 ─お父さんは、高い技術に定評のある木工職人の三島俊樹さんですね。
 父の時代は見て覚えろというやり方ですから、手取り足取り教えるなんてことはないし、見本さえもらえない。それでいてへんなものを作ると殴られる(笑)。それに比べ私は恵まれているんですが、「板にふどうでも彫ってろ」と言われてもあまりにおもしろくなくて、木っ端を素材にストラップを作ったりしてました。
 ─黒板消しの携帯電話ストラップなどユニークな商品はそこから生まれた?
 ええ。面白がって作っていたら商品になっていたという感じですね。昨年発売の手作り箸キット「えこはしくん」はもの作りが体験できる商品。手作りの大変さを実感する人が増えれば、父の作った家具と量産品の違いを分からないような人が減るでしょうかね。

(鶴見裕子)

■190『ギネスに載るんじゃない?』

村越雅雄さん=北海商科大学教授 哲学担当、夕張市出身、札幌市在住

 ―83歳のお父さんはとても元気でいらっしゃる。
 今でもゴルフはかなりの腕前らしいです。大会では来賓として呼ばれたりしているようです。パークゴルフとかゲートボールにしたらとは言うんですけど、身体が続く限りやると言っています。ゴルフのために冬でも毎日1時間くらいは歩いてます。
 ―お父さんとはまったく別のタイプだそうですが。
 話好きです。嵐のように降りかかってくるんですよね。僕は話すのがあまり好きじゃないですから。
 ―共通の趣味などは?
 10年前から始めた渓流釣りですね。釣りは話さなくてもいいでしょ、距離も離れているし。僕はスポーツが嫌いだけど、川の中はどんどん歩けるんですよ。釣りは僕の方が上手です。
 ―お父さんの近況は?
 これはギネスに載るんじゃないかと思っているんだけど、81歳で離婚したんですよね。離婚ってエネルギーがいるんですよ。すごいなと。現在は一人暮らしですが、僕の家とは味噌汁が冷めるくらいの距離です。たまにおやじの手料理を食べに行きます。おやじがつくるお袋の味、うまいんですよ。

(杉本真沙彌)

このページの先頭へ