HOME > 連載【となりの北海道人】『私のお父さん』第33回

連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第33回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■167『受け継いだ畑で給餌をつづける』

山ア一彦さん(50)=農業、釧路市(旧阿寒町)出身、釧路市在住

 ―阿寒国際ツルセンター分館・タンチョウ観察センターは、野生のタンチョウを観察するのにもってこいですね。
 多いときは150羽ぐらいくるよ。建物は釧路市の施設だけど、給餌場と呼ばれているところは、うちの畑なの。じいさんが冬、ツルが食べるものなくてかわいそうだからって、自分らが食べてたトウモロコシをやったのがきっかけで餌をまくようになり、それから冬場くるようになったわけ。子どものころ、朝起きてカーテン開けたら窓の外にツルがいて、普通にいるもんだと思ってた。
 ―農業とタンチョウの給餌を代々受け継いでこられたわけですね。
 そう。でも給餌はまだおやじが現役。おやじが北海道から給餌を委託され、11月から3月にかけ朝はデントコーン、午後2時にウグイをまいてるの。
 ―お父さんは、どんな人ですか。
 やさしいと思うよ。俺は顔も性格もおやじに似ていないけど、そこのところは似てるんじゃないかな。ツルの保護活動ひとつをとってもさ……。知り合いにいわせると、おやじと俺は何もかもそっくりだって(笑)。

(道産ヨネ)

■168『職人気質で多趣味な父』

安立寿美子さん(44)=ピアノ講師、札幌市出身、札幌市在住

 ―社交ダンスに餃子作りと、多趣味なお父さんですね。
 父は67歳。社交ダンスは6年前から始めました。同じ教室にタカアンドトシのトシのお母さんがいるそうです。ただ、父はトシがどれほどの有名人かは知らないんです。餃子も5、6年前から作り始めました。週に1、2回届けてくれます。美味しいですよ。自分でテレビを見て、白菜を入れたり、キャベツを入れたり、色々試して研究したそうです。
 ―どちらも退職後に始められたのですね。お仕事は何をなさっていたのですか?
 タクシーの運転手です。今でも週1、2回乗っています。もともとは洋服の仕立てをしていました。まじめで、頑固。職人気質なんです。
 ―お父さんの職人気質は仕立てのお仕事から来ているのですね。
 洋服の仕立てをしていたころ、父は家で仕事をしていました。だから、家で私がピアノの練習をするのを聴いていてくれたんです。ピアノの練習をしているときは、父にほめられたいと思いながら弾いていた気がします。

(皐月)

■169『夢を追いかけ、夢を与えている』

村場踊さん(19)=アーティスト、札幌市出身、札幌市在住

 ―踊(おどり)という名は本名ですか。
 はい。父が代表を務める新芸能集団・乱拍子に所属していて、2007年の活動テーマは、“村場踊”であり“踊”でした。初めて乱拍子の柱として里神楽や村場流八丈太鼓ばやしなどの演出や振り付けを担当し、対外的なことも任されたので大変だったけれど収穫も大きかったです。父が作曲したピアノ曲に自分で振り付けし、紋付・袴姿で舞う新作も好評でした。
 ―斬新な試みですね。
 父は音大の作曲科の出で、すごくいい曲を作るんです。日本の古典芸能や大道芸も含め総合的な力がないと乱拍子をしょっていけないと思うので、日本舞踊、人形浄瑠璃、ピアノ、ドラムは先生について学び、太鼓は父の指導を受けています。ずっと父の背中を見てきたから、07年から始めたバンド活動やイベント企画にしても父の影響を感じます。
 ―お父さんは、どんな人ですか。
 決してあきらめない人。乱拍子を運営していく上で胃がキリキリすることも多いようだけれど、必死になって夢を追いかける姿を見せることで、団員一人ひとりに夢を与えていると思います。

(道産ヨネ)

■170『書くことと指導を仕事に。現役時代より多忙です』

真樹子さん(41)=薬剤師、後志管内倶知安町出身、小樽市在住

 ―お父さんは教師だったとか。
 中学校の国語の教師を勤めたあと、小学校の校長を。退職して12年になりますね。
 ―現在はどのようなことを?
 道新文化センターで「やさしいエッセイ入門口座」の講師や、『余市文芸』の編集長などをしています。休みなしで仕事をしているので、からだが心配です。現役時代より忙しいんです。
 書くことについて言えば、中学校教諭時代から文章の指導に力を入れていたようです。教え子が作文コンクールで賞を取り、表彰のために付き添って東京に行ったこともありました。中学校教諭時代の父は仕事から帰ると机に向かい、寝るまで原稿を書いていました。
 ―お父さんから勉強を教わりましたか?
 算数はいつも一学年上の内容を教えてもらっていました。国語の教師なのに国語は教えてくれませんでしたね。国語は教えるものじゃないと思っていんでしょうか。そのせいかどうか……、私は国語がちょっと苦手なんですよね。

(杉本真沙彌)

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