HOME > 連載【となりの北海道人】『私のお父さん』第25回

連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第25回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■137『努力して得られる喜びを教えてくれました』

河合俐佳さん(47)=ビューティーアドバイザー、釧路管内浜中町出身、札幌市在住

 ―かつて酪農後継者を目指していたそうですね。
 ええ。父は営林署に勤めていたんですが、44歳のときに大きな交通事故に遭い、それが転機となり牛2頭から酪農を始めたんです。母と10歳の私と妹を前に座らせ、「辛いだろうけれど20年間、お父さんの手足となって働いてくれ。そしたら幸せの兆しが見えると思う」と言いました。酪農を手伝う中で、子どもながら、いずれ継がなければと思ってました。
 ―でも別の道を選んだ。そのわけは。
 虚弱でアトピー体質だったところに肥満の悩みも抱え、15歳のときから独学で健康と美容の勉強を始めたんです。で、25歳のときに、父に「健康で、元気で、きれいになりたい女性のために自分を役立てたい」と言ったら、「賛成はできないけど、継がせるのは諦めたと言ってやる。お前の人生を歩みなさい」と札幌に送り出してくれました。見栄を張ってはいけない。人をうらんだり、ねたんだりせずに自分の心の中の神様を信じて努力してごらん。これは今も私の支えになっている父の言葉ですが、父は65歳で亡くなるまで、そのとおりに生きた人でした。

(道産ヨネ)

■138『つらいときに思い出す、おやじ』

工藤了さん(32)=フォトグラファー、千葉県我孫子市出身、小樽市在住

 ―カメラは独学だとか。
 20代前半に、ワーキングホリデーでカナダに行った頃からカメラに興味を持ち始めました。20代半ば、ニセコで毎日フィルム10本位のスポーツ写真を撮り続け、基本を学びました。友人やいろいろな人がカメラの先生です。
 ―お父さんのお仕事は。
 おやじは25歳で設計事務所を立ち上げました。仕事も順調でバブルの時代には投資もしてたんですね。バブルがはじけた途端に会社が危機的状況になって、30人いた従業員が、おやじ、おふくろ、兄の3人になってしまいました。ものすごい借金が出来て、家族の気持ちもバラバラ。その時は本当にひどい状態でした。でも、おじやじは絶対看板を降ろしたくないと言って、借金と戦いました。負けん気がものすごく強いんです。秋田の出身なんですが、ねばっこいというか。
 ―ご自分にとってお父さんの存在とは。
 人生でふんばらなきゃならないときって、あるじゃないですか。そんな時におやじを思い出しますね。「親父の血が流れてるんだから絶対に大丈夫だ!」そう思うとがんばれます。

(杉本真沙彌)

■139『パワーの源は孫の笑顔』

坂田匡さん(33)=会社員、帯広市出身、東京都練馬区在住

 ―4歳と1歳のお子さん連れでの帰省は、大変ではないですか。
 飛行機でひとっ飛びだし、父が千歳まで車で迎えに来てくれるから体は楽だけど、子どもの成長とともに飛行機代がかさむのが、ちょっと痛いかも(苦笑)。昨日は滝野すずらん丘陵公園、今日はおたる水族館と、連日父の運転でレジャーざんまいです。
 ―お父さん、大活躍ですね。
 旅行関係の仕事をしていたせいか、フットワークがいいんです。チケットをとるのも温泉宿の予約もお手のもの。私が独身のころは、よくゴルフに行きました。父と兄と私と父の仕事仲間で回るんですけど、結構盛り上がるんです。
 ―息子と一緒にゴルフして、家に戻って手料理で晩酌。最高ですね。
 ゴルフも酒も人との付き合い方も父に教わりました。私も息子たちに、そうしてやりたいと思ってます。そうそう、父は自分のベッドの脇に孫たちの写真を置いてるんです。「夜中に目が覚めて、体のどこか、なんか変だ思ったとき、孫の写真を眺めたら治った」と言ってましたが、30代の私には、そこはまだ未知の領域ですね。

(道産ヨネ)

■140『少女漫画を読むスナフキン』

田中綾さん(37)=文筆業、札幌市出身、札幌市在住

 ―事務職から文筆業に転身。現在はどのようなお仕事を?
 主に書評を書くことが多いですね。北海学園大学で日本近代文学の講師を、朝日新聞北海道版で「歌壇」の選者もしています。
 ―お父さんは器用な方だとか。
 短大で機械工学などを教えていましたが、教員になっていなかったら、大工のような職人になっていたと思います。退職してすることが無い、という話を聞きますが、父には全く無縁の話。バードカービング、植物画、革細工、カリグラフィー、版画にペン習字と、毎日忙しく自転車で出かけて行きます。第2の人生をエンジョイしていますね。
 ―子どもの頃のお父さんとのかかわりは?
 父はよく一人で旅に出かけていました。口数も少ないのでスナフキンのような感じかもしれません。甘いもの好きで、机の引き出しにお菓子がいっぱい入っていました。よく父の部屋に行ってお菓子をもらっていました。少女漫画を買ってきてくれたりもしましたね。
 ―お父さんも少女漫画を読んでいたのですか。
 はい。『キャンディ・キャンディ』を、父も読んでいました(笑)。

(杉本真沙彌)

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