HOME > 連載【となりの北海道人】『私のお父さん』第22回

連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第22回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■125『おっかないのも、あったかいのもダントツ』

大河原和雄さん(47)=騎手、根室管内別海町出身、帯広市在住

 ―ばんえい競馬の騎手として長年活躍し続ける秘けつは。
 常に勝ち方を意識してる。1発も叩かないでダーッとゴールに行かせて、強さを際立たせるといったようにね。“見せて勝つ”ことで、お客さんにばんえいの魅力を堪能してもらえるし、40歳を過ぎても乗せてもらえる。若い子には、ヤジられる騎手になれって言ってるの。それだけ期待されてるってことだから。
 ―結婚してから騎手を目指したとか。
 実家は酪農と馬の繁殖をやっていて、俺は分家して家畜商してたんだよね。子どものころから騎手になりたくて、そのことをおやじに言ったら、騎手になるまで帰ってくるなって。だから別海には4年ぐらい帰らなかった(苦笑)。
 ―お父さんは、かなり怖そうですね。
 言葉より先に手が出るタイプ。俺らに対するのと同じ勢いで、よその子も怒ってた。ほめることがなかったし、騎手になってレースのビデオを持って行っても知らんぷり。だけど俺が帰った後で来る人ごとに見せ、あっちこっちビデオの出前をしていたらしい。

(道産ヨネ)

■126『言葉のスパルタ教育をした、父』

井上共子さん(62)=インテリアデザイナー、旧樺太庁敷香郡敷香町出身、小樽市在住

 ―お生まれは、旧樺太なんですね。
 終戦前、父が樺太の旧北海道拓殖銀行で働いていて、私は終戦の前の年に生まれたんです。終戦から1年後に札幌に戻ることができましたが、父はすぐに会社を辞めてしまいました。何か思うところがあったのか……。
 ―銀行を辞めてからはどんなお仕事を?
 野兎(やと)と野鼠(やそ)を駆除するトラップを考案し営林署に売る会社や、「消毒業」の会社を作りました。日本ペストコントロール協会北海道の初代会長を長い間務めていて、その分野の草分け的な人だったと思います。
 ―お父さんは厳しかったそうですね。
 言葉のスパルタ教育ですね。褒められたことは2回だけ。高校時代に運動が苦手な私がハードルで2位になったときと、ある会社の就職試験に受かったとき。私は2番で受かったんです。総務部長が「1番と2番では給料に差があります」と言ったので、私は「辞めます」と言って帰って来た。そのことを父に報告すると「よく言った」と褒められました。社会に出て、厳しい環境にあっても平気だったのは、父のおかげです。

(杉本真沙彌)

■127『便りがないのは元気な知らせ』

大場佳晴さん(40)=コンピュータ・エンジニア、小樽市出身、静岡県浜松市勤務

 ―仕事で浜松に行ってるそうですね。
 浜松に行って6年になるかな。月に一度、水やり、雑草苅り、肥料をやりにこっちに戻って来ている、おやじに(笑)。
 ―普段は電話で連絡を取り合ったりしてるんですか?
 便りがないのは元気な知らせ。 たまにおやじから「へへっ、元気か?」って電話がかかってくることがあって、「何かあったのか?」と聞くと、「いや、ない」と。「本当は何かあるんじゃないか」と、さらに聞くと「実はさ……」と話し出す。電話がかかってくると絶対何かある! 
―引退なさる前はどんなお仕事を?
 車の運転関連の仕事をずっとやっていて、最後は会社のお抱え運転手。社長やお客さんの送迎とか。そう言えばこんな話があった。取引先のカナダの会社の社長を一人で新千歳空港まで送ることになって、高速を使って空港まで送るだけでいいのに、せっかく北海道に来たんだからと、支笏湖をグルッと周って行った。一年後に、そのカナダ人の社長が来たときに、おやじにお土産を持って来てくれたらしい。仕事だとサービス精神が旺盛になるのかな、家ではそんなことないのに……。

(杉本真沙彌)

■128『応援の仕方がカッコイイ!』

長澤幸太さん(18)=厩務員、釧路管内浜中町出身、帯広市在住

 ―今春、高校を卒業し厩舎に入ったそうで。
 騎手になりたくて、中学のときから冬休みと夏休みはここに来てました。ばんえいの場合、厩舎に所属して勉強し、先生(調教師)に「よし」と言ってもらって初めて騎手の試験が受けられるんです。だからいっぱい馬に触って、その馬の癖だとか、どうやったらうまく操れるかとか研究しています。
 ―進路を決める時期、ばんえい競馬が存廃で揺れましたが、不安はありませんでしたか。
 ばんえいがなくなったら、なくなったとき。今は騎手になることだけ考えろって、母さんが言ってくれました。うちは母さんが父さん代わりで、大型トラックに乗って男の中で仕事して一家を支え、僕を応援してくれてます。
 ―早く騎手服姿を見せたいですね。
 初騎乗のときは、母さんはもちろん、家族みんなに見に来てもらいたい。じいちゃんは、ばんばを生産していて馬主でもあるから、すごく喜んでくれると思う。

(道産ヨネ)

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