HOME > 鯨森惣七の「コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅。」vol.10

鯨森惣七の「陽だまりがあれば地球人 」より「コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅。」

cuziramori

小樽の地図

小樽編その10

空は晴れていた。運河沿いからキタイチガラスの店中をとおりぬけて、堺町通りにでてみた。ガヤガヤドヤドヤけっこうなにぎわいで、ひとが興奮している。
この通りに足をふみいれたのは久しぶりだった。ほとんどがキタイチ・ブランドで埋めつくされているのにはウヒーてな声がもれてくる。横並びでビシビシキメているガラスの王国ってな感じにおどろくばかりか、ここはもー外国なんであり、中国語だとか韓国語だとかロシア語もとびかっている。日本語はほんのチョッピリしか聞こえてこなくて、少しさびしいなぁーてな思いを、さりげなくあくまでもさりげなく感じた。

イラスト「ここはもー外国」

陽だまりが気持ちをふわぁっとさせてくれる外のベンチでタバコをふかしていても、腰掛けて三色もっこりソフトクリームをほじくりながらニカニカ笑っているカップルたちは、ほとんど外国語なんである。
でもネ、気分ひとつで、こちらがあちらの外国の通りにまぎれこんだと思えば、なんとなく楽しい錯覚に浸ることができるんだな。……にしても、なんであんなにソフトクリームが溶けて流れているのにいつまでもほじくっちゃうのかなー、ほらほら流れてるよって言っちゃおうかな。

イラスト「天使のオルゴール」

もう一度店内にもどってガラスランプのコーナーをまわってみる。
アロマランプてなものがあって妖しい光とふるいたつような香りで、ボボーっとしてくるのね。さらに気にいってしまったものが、天使のオルゴール。ガラス細工の天使がくるくるまわりながらピノキオのテーマの「星に願いを」なんかが流れてくるもんだから、幸せだったころの思い出にひきずり込まれて、ああ、あの子は今どこに……なんであのときチューしなかったんだボクは……てな反省にうなだれながら歳はとりたくないよね、と思ったのだ。ウッヒー。

(つづく)

《プロフィール》

鯨森惣七(くじらもり・そうしち)

室蘭生まれ。東京八丈島でダイバーとして漁師と共に働く。のちにCM制作の職に就く。札幌でTOMATOMOONとサクラムーンを設立、プロデュースする。近作として、JR車内誌での「陽だまりがあれば地球人」、サッポロビールでの「ボクだって星の王子様」などのイラストエッセイ。現在、HTBテレビ「ハナタレナックス」の収録スタジオのデザインおよびオープニング映像・タイトルの企画制作を手掛けている。
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