HOME > 鯨森惣七の「コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅。」vol.4

鯨森惣七の「陽だまりがあれば地球人 」より「コレは、まちのゲー術だ。と叫びつつ、ちょっとずつ歩きまわる旅。」

cuziramori

小樽の地図

小樽編その4

国道5号線をわたると花園十字街となる。そして、やたらとデーンと目立つものが、空からボクを見るように馬が三匹、いつでもいるのだ。ずいぶん昔に来たときも、同じようなトボケ顔で見ているのだ。お前たちは、いったい、いつ頃からそこに居るんだい。と聞いてみるが、三匹ともニヤニヤしているだけだった。
しかたがないから、近くの時計屋さんのお姉さんに聞いてみたが、やはりニヤニヤするだけで、三時デス。と余計なことを言うのだった。
ボクが子供の頃から知っているのは、川にザリガニ捕りにいくときも、雨の日の卒園式のときも、この馬のマークの長靴と、いつもいっしょだったから覚えているのだ。

イラスト「ネオンと三匹の馬とザリガニと」

左の袋小路に寄れてみると、白けたネオンが、まだ寝ている。昼間の居酒屋街は誰ひとり歩いているわけでもなく、ただ静かな風が吹き抜けているだけだった。花園銀座通りには好きなところがあって、久しぶりに寄ってみることにした。アララな―んだ、今日はお休みなのかヨ。昭和ムードたっぷりの、だるま湯で壁の富士山を見ながら疲れをおとしてさ。となりの北京大衆料理店ウーシャンの餃子とビールで天国コースと思っていたのになー。
てなことブツクサ言いながら、向かいのカフェに入ってしまった。

イラスト「だるま湯の壁の富士山」

今どきめずらしい赤いベルベット布のソファーで仕切られている空間で、何だか怪しい空気がただよっている。ここで、JAZZの楽団が演奏していたら、もーまちがいなく昔のキャバレーなのだ。後ろの席のおばさんたちの厚化粧も怪しいし、天井から垂下がるガラス玉のシャンデリアもピカピカ光るのである。もっと驚くのが、古いヨーロッパ調のお姫様人形が、ケースのなかで踊っているのだ。シンデレラ姫や白雪姫がたくさんいるのさ。それを観ながらオムライスカレーを食べてしまった。

イラスト「ケースの中のお人形」

オタルは、50年でも100年でも、元気でやっているところがあるのだヨ、エライな。

(つづく)

《プロフィール》

鯨森惣七(くじらもり・そうしち)

室蘭生まれ。東京八丈島でダイバーとして漁師と共に働く。のちにCM制作の職に就く。札幌でTOMATOMOONとサクラムーンを設立、プロデュースする。近作として、JR車内誌での「陽だまりがあれば地球人」、サッポロビールでの「ボクだって星の王子様」などのイラストエッセイ。現在、HTBテレビ「ハナタレナックス」の収録スタジオのデザインおよびオープニング映像・タイトルの企画制作を手掛けている。
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