病院で検査を受けると、CTやMRIといった大きな医療機器に入れられることがある。内臓や脳の「薄く輪切りにしたような写真」を見たことがある人も多いのではないだろうか。このような写真のことを医用画像というが、株式会社メディカルイメージラボは、医用画像の「遠隔画像診断支援サービス」を行う大学発ベンチャーである。
遠隔画像診断支援サービスとはどのようなものかを説明する前に、まず北海道が抱える地域医療の問題点に触れなくてはならない。それは地方病院における画像診断専門医の不足による、都市部と地方との医療格差の問題である。CTやMRIなどの医用画像を使った診断には「読影」という専門的な技術が必要とされるが、地方病院では専門医の絶対数が足りない。
とくに発見しにくい疾病や特殊な症例などは、その分野の専門家でなければ判断できないケースが多く、そのような読影ができるのは北海道大学医学部、札幌医科大学、旭川医科大学などごくわずかだ。札幌近郊の患者なら北大病院で診察を受けることもできるが、道北や道東など遠隔地の患者が札幌まで出向くというのは、身体的にも経済的にも負担が大きい。
遠隔画像診断支援サービスは、こうした問題を解決するために誕生した地域医療支援ビジネスである。
ベースとなっているのは、北海道大学医学部の宮坂和男教授を中心とする同放射線専門医による「遠隔画像診断支援(テレラジオロジー)システム」を利用した診断技術だ。地方の病院で撮影した医用画像をデジタル情報として伝送、同社の画像診断センターの読影スタッフがパソコン上で画像を分析し、コンサルティングを行う。宮坂教授らは、この診断技術を基盤として本格的な「遠隔画像診断支援サービス」を事業化するため、大学発ベンチャー・メディカルイメージラボを立ち上げた。
代表取締役CEOの平澤之規は夕張市の出身で、高校卒業後上京し、放射線技師として慈恵医大病院に15年間勤めた。36歳の時、大手商社にヘッドハンティングされ、医療機器の輸入・マーケティングの仕事に携わる。当時は、欧米から最新の医療機器やコンピュータシステムが次々と輸入され、平澤は大学病院などと共同で、厚生省認可を得るための治験や実験を行っていた。宮坂教授と出会ったのもその頃だ。
「私には『人生の師』と呼べる人が3人いる」と語る平澤。
一人は自分の父親、もう一人は慈恵医大でお世話になった川上教授、そして宮坂教授である。医師としての熱意と使命感にあふれる宮坂教授の姿は、平澤に「医療の現場に携わる者の志」を再び呼び起こした。生まれ故郷で地域医療に貢献できる。尊敬する人生の師と同じ志をもって取り組める。
2002年3月、商社を退職した平澤は、地域医療支援という新しいビジネスに取り組むため、26年ぶりに北海道へ帰ってきた。
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