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新世紀ビジネスの開拓者たち 新世紀ビジネスの開拓者たち The pioneers in the new century
北海道には、IT、バイオ、環境、新エネルギーなど、未来を拓く新ビジネスに挑戦する企業が数多く活躍しています。「可能性の大地」北海道から、新しい開拓者たちの物語をお伝えします。
  連載第8回
 
環境とITをベースに新しい農業のかたちを創造する


代表取締役 門脇武一(かどわき・たけかず)氏 【農業生産法人 株式会社イソップアグリシステム】
代表取締役 
門脇武一(かどわき・たけかず)氏
(株)イソップアグリシステムは2002年6月、農業者6名と企業6社の出資で設立された農業生産法人。オホーツク地域の異業種交流の積み重ねのなかから誕生した企業で、オホーツク地域の農業を競争力をもったビジネスとして確立し、精密農業や環境保全型農業をITを駆使して実現するとともに、安心で安全、健康な食を消費者にとどけることをめざす。その製品の第一弾として「イソップ生パスタ」を開発。農業・食クラスターのモデルとして注目を集めている。
圃場から食卓までを考えるイソップ・コリドール

 イソップという名前を聞いて思い浮かべるのは、なによりもあのギリシアの賢人の書いたイソップ物語ではないだろうか。
 そのイソップ物語のなかに「金のライオン」の話がある。金のライオンを見つけた臆病者の欲張りが、自分ではそれを取りに行かず、召使いに取りに行かせるという話である。自らリスクに立ち向かわなければ成功は身に付かないという警句がここには含まれている。
 「農業生産法人イソップアグリシステム」を訪ねる道すがら、そんなことを考えていた。

株式会社 システムサプライ 訪ねたのは北見市にある(株)システムサプライというIT企業である。イソップアグリシステム代表取締役の門脇武一は、むしろこのシステムサプライの社長として知られ、マルチメディア協会、産業クラスター研究会など、地域の交流・連携の要であり、北海道の情報産業のキーパーソンのひとりだ。
 IT企業の経営者でありながら、農業という「金のライオン」に自ら立ち向かっていった門脇は、こう話す。
 「オホーツク圏全体が、農場から食卓まで、食に関する総合企業なのです。環境を重視し、安心、安全、健康、そして美味しい、という食のブランドを確立し、農業者や地域企業が連携して、新しい地域産業のかたちを生み出したいと考えたのです。ITはそのひとつの核になります」
 オホーツク地域の異業種交流のなかで培われたその理念のもとに、2002年6月、端野町・東藻琴村・小清水町・美幌町などオホーツク地域の7人6戸の農家と、精密農業技術、農業資材販売、農産物・加工品の流通など多分野の企業6社が集まり、イソップアグリシステムは誕生した。

 このイソップという社名は、あの寓話の物語と関係があるのだろうか。
代表取締役 門脇武一(かどわき・たけかず)氏  「イソップ(ISOPP)というのは、ISO14000とHACCP、そしてPrecision Agricultureの略称です。地域の企業と農業者が、ときには夜を徹して、地域や農業のビジョンを話し合ってきました。そこで生まれた理念が、このイソップという名前にこめられています」
 ISO14000は、環境に関する国際基準であり、現在多くの企業や自治体での導入が進められている。HACCPは、O157事件で脚光を浴びたが、食品が異物や衛生上で、消費者に危害を及ぼさないための国際基準である。
 Precision Agricultureには、少し説明がいる。日本語では「精密農業」と訳されるもので、農地の場所ごとに土壌や収量などの情報を細かく把握し、地図情報として管理。場所によって肥料・農薬などの散布を細かく調整し、必要最小限にとどめることで環境保全型の農業を行うというもの。
イソップ・コリドール  門脇は、この「精密農業」やHACCPを導入した営農と、食品開発・流通によるブランドの確立、ISO14000などの資源循環の連環を、イソップ・コリドール(回廊)と呼び、それが目指すべき新しい農業のビジョンだという。
 そのイソップ・コリドールのひとつの具現化が、オホーツクの小麦を原料とした「生パスタ」だった。

   



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