環境セラピィの事業の源になるのは、自然界に存在する「微生物」である。
「水も土も原理は同じ。有効な微生物を培養して組み合わせ、その場所に適切に投入すれば、環境は改善されます」
現在、同社の主力商品となっているのは、植物活性剤「土母(どうも)」と、植物栄養剤「有果土(ありがと)」の二つである。それまでの業務用の技術を、消費者向けに応用した新商品だった。
「土母」の主成分は「光合成細菌」という微生物で、土壌で他の有益な微生物をふやす働きがあり、土の生態系をバランスよく保つ。「有果土」は魚粉や米ぬかなどの有機物に微生物を加えて発酵させたもので、分解力の極めて高い栄養剤。粉状で、水にふれるとふつうの肥料よりも早いスピードで有機物の分解がすすみ、植物が必要とする栄養素を供給する。
「植物にとって、有果土は不可欠な『ご飯』であり、土母は『おかず』にあたります」と森若は説明する。
「土母」は、植物に与えると、花や実のつきがよくなる、葉がツヤを増すなど、様々な効果があるという。また、量を与えすぎても害がなく、無臭であることも特長だ。
これらはガーデニングブームにものり、手軽に使え、100%自然の素材からつくられている商品として首都圏を中心に消費者の心をつかんだ。実際に使った客の口コミ情報が大きな宣伝になっているようだ。
また、「有果土」は地元の野菜農家が使ったところ、味の良さに驚きの声があがり、農業者からの注文も舞い込むようになったそうだ。ここ数年は栗山町の特産物としてイベントに出品されることも多い。
このほか、同社では生活と環境にかわかる様々な商品を開発・製造・販売している。たとえば、ランニングコストの低い、微生物の働きを利用した家庭用生ゴミ分解消滅機。防腐剤をいっさい使わない「限りなく食品に近く、安全」という化粧品。暮らし全般に使える石けん。また、地元で減農薬栽培された野菜、各地からとりよせた安全な食材などの販売も行う。
一見すると、統一性のない事業にみえなくもない。
しかし、森若の言葉にははっきりとした「芯」がある。
「わたしたちは、環境に与える負荷の少ない商品を紹介し、シンプルな生活スタイルを提案しています。そこに微生物利用という技術を反映させているだけです」
シンプルな生活スタイルとはなんだろう。
自然と切り離され、多くのモノに囲まれ、たくさんのゴミを生み出すわたしたちのくらし。このような生活がいつまでも続けられるわけがないと思いながら、文明の暴走は続いてきた。
森若の事業とは、栗山というローカルな場所から、グローバルなサスティナビリティ=持続可能性を追求しているようにも見える。
さらに森若はこう続ける。
「よく『ユニークな会社』と注目されますが、特別に新しいことをしているのではありません。微生物の利用は昔から行われてきたことです。ベンチャー企業というと、他にない技術や商品がなければ、と考えられがちですがそんなことはありません。そこにある技術や資源をどう活用するかが大事だと思います」
北海道を「まだ使われていないビジネス・チャンスの宝庫」という森若。
これからも既存の枠にとらわれない軽やかな発想から、新しい事業が生まれるにちがいない。
(※本文中敬称略)
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