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新世紀ビジネスの開拓者たち 新世紀ビジネスの開拓者たち The pioneers in the new century
北海道には、IT、バイオ、環境、新エネルギーなど、未来を拓く新ビジネスに挑戦する企業が数多く活躍しています。「可能性の大地」北海道から、新しい開拓者たちの物語をお伝えします。
  連載第7回
 
微生物の働きによって環境を「治療」。21世紀型の「エコライフ」創造をめざす。


【株式会社環境セラピィ】代表取締役社長 森若美代子(もりわか・みよこ)氏 【株式会社環境セラピィ】
代表取締役社長 
森若美代子(もりわか・みよこ)氏
 (株)環境セラピィは1995年、千葉県市原市で設立されたベンチャー企業。設立時 のおもな事業は、微生物を利用した業務用の生ゴミ処理機開発と、車エビ養殖場の水質管理技術で、特殊な分野で実績を積んできた。1997年に北海道栗山町に移転。その後、業務用だけでなく一般向けの園芸用資材(微生物を使った植物活性剤や栄養剤、防虫剤など)などの開発、製造に着手。販売は「顔の見える双方向の関係」を基本に直販を中心としているが、首都圏の大手園芸店との取引きも増えている。
34年ぶりに戻った故郷の土地

 1997年、森若美代子は、自ら設立し、社長を務める企業「環境セラピィ」(千葉県)を北海道・栗山町に移した。
 森若が生まれ育った栗山町は、札幌市から車で約1時間の小さな町である。
 34年ぶりに戻った故郷の土地―。それは、あくまで優しかった。

環境セラピィ 社名の「セラピィ」とは「治療」を意味する。
 環境セラピィは、文字どおり環境を治療することが業務だ。微生物の働きを利用して生ゴミを分解・処理したり、漁業の養殖場の水質管理をしたり、農業や園芸資材の開発、製造などを行っている。森若はその事業を「生態系制御による環境治療」と表現する。
 いまでこそ、有機物、微生物、生態系などの言葉が注目されるようになったが、彼女がこの道に入った30年以上前、そうした概念はほとんどなかった。

 森若の経歴はかなりユニークなものだ。
 栗山高校を卒業し、北海道大学で生物学を学んだ。
 「寺田寅彦のように、科学者であって文学者という人はいたけれど、文学者であって科学者という人はいなかったから、科学を勉強したほうが得だと思ったの」と彼女は話す。
 北大を卒業後、さらに奈良女子大で生態学を学び、琵琶湖の汚染を生態学的に評価する研究で博士号を得る。その成果が認められて、外務省が所管する交流協会の専門家派遣制度によって台湾の環境保護署(日本の環境省にあたる)に赴任。飲料水水源地の水質調査などを行った。ここで専門分野と北京語に磨きをかけた。92年に帰国した後は、千葉県にあった旭硝子エンジニアリングに入社し、まだ国内には少なかった生ゴミ処理機の開発にたずさわった。

 そして、3年後に独立し、設立したのが「環境セラピィ」だった。
 「昔は女性が仕事を選べる時代じゃなかった。私には専門の知識と技術があったから、目の前にある、自分のできる仕事をしてきただけです。夢を追いかけてきたわけじゃありません。独立したのも成り行きなんだから」と森若は明るく笑う。

【株式会社環境セラピィ】代表取締役社長 森若美代子(もりわか・みよこ)氏 千葉県に小さな事務所と研究室、工場を構えて始めた事業だが、やがて顧客は沖縄県の車エビ養殖場をはじめとして全国各地へ広がった。ときには、インドネシアなどへでかけることもあった。
 森若はふと考えた。
 この仕事なら会社がどこにあってもハンディにはならない。逆に、土地が安く、気候が涼しい北海道は有利な点が多いだろう。そして何よりも、自分が育った土地の「温かさ」を感じることができる。そんなとき、町から講演の依頼が舞い込んだ。久しぶりに戻った栗山の地で、森若はほっと息をはいた。そして、ふるさとに会社の移転を決めた。

 
















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