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新世紀ビジネスの開拓者たち 新世紀ビジネスの開拓者たち The pioneers in the new century
北海道には、IT、バイオ、環境、新エネルギーなど、未来を拓く新ビジネスに挑戦する企業が数多く活躍しています。「可能性の大地」北海道から、新しい開拓者たちの物語をお伝えします。
  連載第3回
 
北海道発のアイスシェルター技術を中国に。自然エネルギーでワイン生産を夢見る。<取材・文/澤木康人 写真/並木博夫>


【三洋技研工業株式会社】代表取締役社長 早坂 正 氏 【三洋技研工業株式会社】
代表取締役社長

早坂 正 氏
三洋技研工業は、清掃・警備等のビルメンテナンスを本業に、約30年の歴史を持つ。90年代からは、新規ビジネスとして自然エネルギーの開発など<環境ビジネス>を手がけ、風力発電装置の開発や、中国との合弁でアイスシェルターの建設・運営などに挑戦し続けている。
ビルメンテナンスを本業に、環境ビジネスに挑戦

中国・営口市のアイスシェルターの起工式 中国遼寧省の営口市。ここで北海道の技術を使ったプロジェクトが立ち上がった。
このプロジェクトとは、堂腰純・元北大教授が開発した氷を使った農産物の貯蔵施設「アイスシェルター」で、営口市特産のブドウなどの農産物を保存しようというもの。事業を行うのは札幌市のビルメンテナンス会社・三洋技研工業株式会社(早坂正社長)と営口市で作る合弁会社「営口三洋技研有限公司」である。
アイスシェルターのシステム図 今では電気を使った冷蔵施設は、当たり前になっているが、このアイスシェルターは、電力をほとんど使わない。その秘密は、冬に貯蔵した氷で夏場の冷却を行うことにあり、冬の平均気温がマイナス9度になる営口市に最適の環境共生型の貯蔵施設なのである。同時に冬は外気温がマイナス20度に下がっても、氷によって常に0〜3度に保たれる。また湿度も90%あるため、常に農産物は新鮮な状態で、しかもアミノ酸などうまみ成分が増すという調査結果もある。雪と氷の研究から生まれた北海道らしい自然エネルギー技術。それをを「環境ビジネス」として、中国に持っていった三洋技研工業とは、どのような会社なのだろう。

 三洋技研工業社長の早坂正は、樺太(現在のサハリン)に生まれた。父は警察官で、一家は戦後北海道に引き上げる。早坂は、函館、黒松内、倶知安など道南、道央で育ち、山梨学院大学へ進んだ。山梨に行ったのも偶然だとしたら、ビルメンテナンスの道に進んだのも偶然である。1967年、大学卒業後に就職した企業グループにビルメンテナンス会社があり、そこに配属されることになった。
 その後、北海道市場の開拓のために札幌に赴任した早坂は、札幌で続々とビルやマンションが建ち始めている姿を目にし、ビルメンテナンスが有望な市場と考え、独立を決意する。
 1970年、早坂は三洋技研工業を創業。「人、モノ、カネ、全てゼロからの出発。しかし青春は、たとえ失敗してもやり直しができる、と考えていました」と早坂はいう。
【三洋技研工業株式会社】代表取締役社長 早坂 正 氏 当時の札幌の人口は、100万人を越えたばかり。札幌オリンピック景気に沸き、都市として急速に成長する時期だった。また地方では、自治体の役場庁舎が次々と建て替えられていった。ビルメンテナンスが、アウトソーシングに移行する時代の流れのなかで、三洋技研工業は順調に業績を伸ばしていった。
 






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