イメージ 続・北海道を知る100冊 北海道人トップページへ
082 『ゴッホの靴』 坂本美智子 著

『ゴッホの靴』/坂本美智子 著

『ゴッホの靴』
坂本美智子 著
新風舎 刊
2006年2月 発行
1600円+税
ISBN4-7974-8510-8
ジャンル 小説

◎生と死と老いに、心静かに向き合う短編集

 地域から文学の力を発信する―函館にはそんな志をもった「函館文学学校」や、作家・井上光晴が主宰した「函館文学伝習所」があった。
 著者は、その文学学校や文学伝習所に学び、函館の同人誌に参加しながら作品を書き続けてきた。北海道の同人誌関係者のなかでは、よく知られた書き手である。

 著者は、現役のケアマネージャーとして、現在東京に在住。介護体験をもとにした「付添人のうた」がカネボウヒューマンドキュメンタリー大賞の優秀賞を受賞している。
 その介護や看護という、人間の行き着くところをテーマにした彼女の作品は、現場体験にもとづく重さと深みをもっている。最近の小説に多いあざとい饒舌さや巧みさではなく、鈍く光る、訥々とした直截な語り口は、「地域の書き手」として鍛えられてきた、70歳をこえた著者の、巧拙をこえたものである。

 本書には、新風舎出版賞の審査委員長・井狩春男が選ぶ井狩春男賞を受賞した短編作品「ゴッホの靴」をはじめ、6編が集められている。
 表題作『ゴッホの靴』では、仲間を死なせてしまったことでホームレスとなり、入院してくる登山家をとりあげる。看護師の目から見た彼との出会いと、死。どこの病院にもある、ありふれた風景のなかに、人間が生きることの哀しみがある。ゴッホの靴とは、彼が最期まではき続けた、ゴッホの絵の靴のような登山靴のことである。
 これら生と死と老いの物語と、心静かに向き合った6編である。

Back Number
100 北海道という世界の中心で、わたしたちは生きる。
099 『中尾佐助著作集第2巻 料理の起源と食文化』
中尾佐助 著
098 『北海道の不思議事典』
好川之範・赤間均 編
097 『未来フロンティア紀行』
月尾嘉男 著
096 『ものとテクノロジー』
氏家 等 著
095 『中学生はこれを読め!』
北海道書店商業組合 編
094 『散るぞ悲しき』
梯久美子 著
093 『ちとせのウエペケレ』
長見義三 著
092 『北海道 わが心の木造校舎』
高関義博 板東忠明 著
091 『金子鴎亭』
齊藤千鶴子 著
090 『コトバノチカラ』
宋文洲 著
089 『北海道生活』
コスモメディア 編・発行
088 『札幌の昆虫』
木野田君公 著
087 『北海道2030年の未来像』
日経新聞社 編・刊
086 『小熊秀雄童話集』
小熊秀雄 著
085 『アイヌの碑』
萱野 茂 著
084 『たば風に唄う』
松村 隆 著
083 『おばけのマールとまるやまどうぶつえん』
なかいれい 絵 けーたろう 文
082 『ゴッホの靴』
坂本美智子 著
081 『司馬遼太郎と城を歩く』
司馬遼太郎 著


061-080
041-060
021-040
001-020