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029 『霧多布人になった医者』 道下俊一 著

『霧多布人になった医者』/道下俊一 著

『霧多布人になった医者』
道下俊一 著
北海道新聞 刊
2004年12月 発行
税込 1500円
ジャンル エッセイ/ノンフィクション

◎津波の村で、47年間を地域医療に捧げた医師

 インド洋津波の凄まじさは、北海道の私たちにとって人ごとではない。
 津波大国日本の私たちにとって、英語にもなった「TSUNAMI」の記憶の新しいものは、あの奥尻島沖地震である。このときも多くの人々が犠牲になった。一昨年の十勝沖地震では、津波が川を10キロも逆流し、釣り人が行方不明になっている。

 過去にも、昭和27年の十勝沖地震津波、昭和35年のチリ沖地震津波があった。
 このときも北海道沿岸に大きな被害があった。
 その二度の津波に壊滅的被害を受けた村が、北海道浜中村(現在は浜中町)霧多布である。
 海と湿原の美しい村。この村の診療所に、札幌・北大から赴任したひとりの医者がいた。
 当時まだ27歳の道下俊一医師である。
 昭和28年、道路も満足になく、津波の傷跡に苦しみ、伝染病におびえる村人。道下医師は、馬に乗り、シケの海を船で渡り、往診に出かけた。雪で閉ざされた村で、専門外の手術もせざるえなかった。人口8千人の村の、たった一人の医師だった。
 一年後、札幌の大学に戻ることが決まると、村人たちは入れ替わりとどまることを懇願した。8年つづいた押し問答のすえ、道下医師は、霧多布にとどまり、霧多布人になることを決意する。

 本書は、霧多布で47年間、地域医療に全力を傾けてきた道下医師の感動のエッセイである。
 本書は、どのような教科書よりも、地域医療とは何か、という問いへの的確な答えとなっている。また医療とは、医師とはどのような存在なのか、という答えも、ここにある。津波に襲われたアジアが救援を待っている姿を見るたびに、この北海道の小さな村の姿が、重なるのである。

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