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<99>永倉新八 著 『新撰組顛末記』
『新撰組顛末記』永倉新八 著

『新撰組顛末記』
永倉新八 著
新人物往来社 刊
1998年11月 発行
本体 1800円
ISBN4-404-02670-6

 
◎北海道に余生を送った新撰組隊士がいた

 北海道と新撰組のゆかりは深い。
 箱館戦争で道南を転戦した新撰組副長・土方歳三は、函館市内で銃弾を受けて絶命。旧幕軍が立てこもった五稜郭内に葬られたといわれる。このように道南には、土方の足跡がいたるところに見られる。
 また新撰組の語り部となったのが、日本海に面した厚田村に生まれて、旧幕臣の祖父の膝で昔話を耳に育った子母沢寛である。新撰組についての畢竟の書『新選組始末記』、『新選組遺聞』、『新選組物語』という三部作は、北海道人によって書かれたのである。
 そして、もう一人、北海道とゆかりの深いのが、この新撰組副長助勤・永倉新八である。
 
 永倉新八は、松前藩士の長男として江戸に生まれ、幼いときから剣の腕をみがき、当時江戸で道場を開いていた近藤勇らと交友。その縁で、近藤勇、土方歳三、沖田総司らと京にのぼり、新撰組を結成した。副長助勤という最高幹部の一人として、池田屋事変など白刃の下をくぐったが、鳥羽伏見の戦いののちに近藤とたもとを分かって、松前藩に帰参。維新後は、福山(現在の松前町)に戻り、松前藩の藩医をつとめていた杉村家の養子となり、のちに家督を継ぎ、杉村義衛と名乗る。小樽に移住し、晩年までを小樽で過ごし、大正4年に76歳で没する。
 永倉は、生前、月形町の樺戸集治監で剣術を教えたり、北大の学生に請われて剣術指南をするなど、北海道で「武士」としての余生を送ったが、新撰組の記憶を後世にのこそうと、「小樽新聞」に、同紙記者に語った回想記を連載している。この新撰組当事者の証言は、まさに歴史の一級の史料となった。

 本書は、昭和2年に出版されたその回想記、「新撰組顛末記」を復刊したものである。
 当事者の回想であるから、どのような小説よりもリアリティをもって、生き生きとせまってくることは当然だろう。
 新撰組が大河ドラマとなり、ブームになっているが、永倉新八という武士が私たちの身近にいたことを忘れずにいたい。子孫は、現在札幌に在住しているそうだ。

バックナンバー
100 佐藤正午 著
『象を洗う』
099 永倉新八 著
『新撰組顛末記』
098 村上 龍 著
『希望の国のエクソダス』
097 石川啄木 著
『啄木歌集』
096 小林英樹 著
『色彩浴』
095 三國清三 著
『料理の哲学』
094 斉藤征義 著
『宇宙船売却』
093 きらん出版会 編・刊
『きらん 魅惑の室蘭・胆振ガイド』
092 井内佳津恵 著
『田上義也と札幌モダニズム』
091 村上春樹 著
『羊をめぐる冒険』上・下
090 『faura』
089 新穂栄蔵 著
『ストーブ博物館』
088 司馬遼太郎 著
『街道をゆく38 オホーツク街道』
087 『北海道かるた 方言編』
086 池澤夏樹 著
『静かな大地』
085 小檜山博 著
『出刃』
084 大崎善生 著
『聖の青春』
083 『女性史研究ほっかいどう』
082 松原 仁 著
『鉄腕アトムは実現できるか?』
081 沢木耕太郎 著
『沢木耕太郎ノンフィクション4 オン・ザ・ボーダー』

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