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<95>三國清三 著 『料理の哲学』
『料理の哲学』三國清三 著

『料理の哲学』
三國清三 著
 青春出版社 刊
2003年12月発行
本体 1,600円
ISBN4-413-02168-1

 
◎料理人・三國清三の誕生と、その哲学

 三國清三は、オテル・ド・ミクニのオーナーシェフであり、日本を代表するフレンチのシェフの一人である。
 以前は三國を北海道<出身の>料理人、と書いてきたが、今年札幌に彼の店がオープンしてからは、名実ともに北海道の料理人と書くことができるようになった。
 本書は、彼が自らの「料理の哲学」を語った一冊。料理人としての哲学や生き方が、彼の5人の師であるフレンチの神様たち、フレディ・ジラルデ、トロワグロ兄弟、ポール・エーベルラン、ジャン・ドラベーヌ、アラン・シャペルとの関わりで解き明かされる。

 三國は、本書のなかで、料理にとっていかに素材が重要であるかを語り、だからこそ生産者との関係や地域の農漁業が大切なのだと説く。「僕の料理は、素材の本来の味にできるだけ近づけようとするやり方なのだ」とまで書く。
 彼のこの料理哲学は、フレンチの師である巨匠ジラルデやトロワグロ兄弟らの影響であるだけではなく、彼が増毛町という北海道の漁村で育ち、子供のころから漁や畑仕事を手伝って育ってきたことと無関係ではない。彼自身、これまで出会った優秀なシェフのほとんどが、海育ちか山育ちだと語っている。

 北海道は、素材一流、料理二流、サービス三流と揶揄されてきた。確かに、われわれ自身そう感じることは多い。しかし、たしかに京料理のような伝統的料理文化が育っているわけではないが、素材が一流の土地ということは、実はすごいことなのではないか。
 この土地に生きるわたしたちは、常に素材そのものの味わいを敏感に感じながら育ってきた。だから素材がだめな料理はすぐわかるし、素材を殺してしまっている料理を美味しいとは思わない。北海道は、案外と、きわめて優秀なシェフを生む可能性のある土地なのかもしれない。

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