本◆北海道を知る100冊 北海道人トップページへ
<87>『北海道かるた 方言編』
『北海道かるた 方言編』イラスト はた万次郎 読み手 谷崎尚之

『北海道かるた 方言編』
イラスト はた万次郎
 読み手 谷崎尚之
 ディスカバリー・
クリエイティヴ 発売
 本体 1,800円

 
◎思わず笑ってしまう、秀逸なイラスト方言かるた

 「うるかす、が北海道弁になっているけど、共通語でないかい?」
 「お米をといでうるかす、という『うるかす』ですよね。わたし東京でお米をうるかす、と言ってみんなに笑われました。方言ですよ」
 「げっ※#%」
 という会話が、この『北海道かるた』をはさんで交わされた。
 そうなのかと思って、『日本国語大辞典』で調べると、以下のようにあった。
 「水にひたして水分を吸収させる。」
 その語出は、たしかに東北・北陸地方に分布する方言である。ただ熊本県でも採集されているところを見ると、日本の周縁に残る古い言葉のようだ。共通語としては、うるおう(潤う)、うるおす(潤す)という言葉が同じ意味になるので、「うる」という言葉の語尾が変化したのだろうと思い、その先を読むと、「うるおう」の語源説のひとつに「ウルは『潤』の韓音ユンの転」とある。
 北海道弁からはじまって、古代の語源まで辞書を読み進めたり、ひとしきり方言談義に花が咲いたりと、このかるたで、しばし楽しんだ。
 
 少し脱線したが、今回ご紹介する『北海道かるた・方言編』は、「本」ではないが、北海道を理解し、楽しむには格好の素材である。
 なにより「かるた」の絵柄を描いているのが、我らが道産子漫画家・はた万次郎画伯である。その一枚一枚が、なんとも可笑しく、味わい深い。
 付録には読み札を録音したCDもついている。その読み手は、北海道の演劇人・谷崎尚之である。これまた道産子ネイティブの発音は、『北の国から』の東京出身役者では奇妙にわざとらしくなり、ほとんどマネできまい。
 「(か)ちゃっぺない」
 「(へ)なまずるい」
 「(も)ちょこい」
 「(み)ったくない」
 など、50音の取り札を眺めながら、思わずくすくすと笑ってしまった。どうやら観光客のお土産としても売れているらしい。北海道の文化を商品に高め、お土産を文化に高めた見事な企画力に脱帽、である。

バックナンバー
100 佐藤正午 著
『象を洗う』
099 永倉新八 著
『新撰組顛末記』
098 村上 龍 著
『希望の国のエクソダス』
097 石川啄木 著
『啄木歌集』
096 小林英樹 著
『色彩浴』
095 三國清三 著
『料理の哲学』
094 斉藤征義 著
『宇宙船売却』
093 きらん出版会 編・刊
『きらん 魅惑の室蘭・胆振ガイド』
092 井内佳津恵 著
『田上義也と札幌モダニズム』
091 村上春樹 著
『羊をめぐる冒険』上・下
090 『faura』
089 新穂栄蔵 著
『ストーブ博物館』
088 司馬遼太郎 著
『街道をゆく38 オホーツク街道』
087 『北海道かるた 方言編』
086 池澤夏樹 著
『静かな大地』
085 小檜山博 著
『出刃』
084 大崎善生 著
『聖の青春』
083 『女性史研究ほっかいどう』
082 松原 仁 著
『鉄腕アトムは実現できるか?』
081 沢木耕太郎 著
『沢木耕太郎ノンフィクション4 オン・ザ・ボーダー』

061-080
041-060
021-040
001-020