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<82> 松原 仁 著 『鉄腕アトムは実現できるか?』
『鉄腕アトムは実現できるか?』松原 仁 著

『鉄腕アトムは実現できるか?』
松原 仁 著
 河出書房新社 刊
 1999年3月 発行
 本体 1500円
ISBN4-309-61203-2
 
◎世界一やさしい「人工知能」入門

 公立はこだて未来大学教授である著者の研究室を訪ねたことがある。
 研究室のガラス窓からは、鉄腕アトムの人形がのぞき、壁にはアトムのポスターが貼られていた。まるで「鉄腕アトムおたく」と見間違える部屋で、日本における人工知能とロボット研究の第一人者である著者は、にこにこと笑っていた。(若きお茶の水博士、だと思ったが、ご本人には言わなかった)

 本書の帯には、「世界一やさしい『人工知能』入門」とあるが、それが嘘ではなく、人工知能とロボットについて、実に平易に語られている。たとえば日本のロボット研究者の数は欧米の数倍だといわれるが、それがなぜかという点を、欧米のキリスト教倫理と日本の宗教観のなかにあるアミニズムの対比で、わかりやすく解き明す。フランケンシュタインのように欧米では悪玉的な人造人間に対し、日本では鉄腕アトムのようなポジティブなヒューマノイド型ロボットのイメージが広がるのもそのためだという。
 世界初の二足歩行ロボットや、動物型ロボットAIBOを世界に先駆けて生んだように、日本はロボット先進国である。日本が世界のロボット研究の先頭に立てるのは、まさに「鉄腕アトム」が象徴する文化のなせるワザなのだ、ということがわかる。そもそも著者自身、ロボット研究の道に入ったのは、少年時代に熱狂した鉄腕アトムの影響だということ自体が、それを語っているだろう。
 同じように、人工知能とは何か、いま人工知能をめぐってどのような議論があるのか、チェスの世界チャンピオンをコンピュータが破った秘密はどこにあるのか、などについて、本書は中高生でもわかるように説明してくれる。
 
 著者は、ロボットを使ったサッカーのワールドカップ「ロボカップ」の中心メンバーでもある。全国各地で、未来のお茶の水博士をめざす子供たちを生んでいるロボカップだが、まだ北海道で一度も開かれていないのは寂しいかぎりである。著者がいうように、2030年にロボット対人間のワールドカップが行われるときには、ぜひ北海道で開催したいものだ。

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