本書は筋ジストロフィーという難病を得ながら、自立生活を送るシカノこと鹿野靖明の生きざまと、彼をめぐる多くのボランティアの物語である。
シカノは、自分のワガママをすべてボランティアに吐き出す。障害者のワガママとは、生きることそのものなのだと、決して臆さずに主張する。手を貸してもらうことは、お願いではなく、権利なのだ、という生き様である。
筋ジストロフィーは死に至る病である。その不安から、シカノは眠れない。眠れないシカノは、深更にボランティアを起こして言う。
「バナナが食べたい」。
『こんな夜更けにバナナかよ』という不思議なタイトルは、ここからついた。
そのシカノに徹底して寄り添うボランティアたちがいる。
そのボランティアたちが、本書のもうひとつの主人公である。なぜ彼らはボランティアをするのか。しかも、シカノという強烈な個性に支配され、あるいは反発し、あるいは深く共感しながら、なぜ離れようとしないのか。
それは欠落したものを補うために男女はひとつになろうとするという寓意に似ている。互いの欠落を求める、壮絶で優しいたたかい。
この壮絶で優しい物語をまとめたのは、札幌在住のフリーライター・渡辺一史である。
著者は、この本を書くまでに三年にわたって彼らと付き合いつづけた。三年かかった、というよりは、三年かからなければ書けなかったということだろう。シカノとボランティアが欠落を埋めたように、著者もまた書くことで自分のなかの欠落を埋めたのだ。その時間のなかに醸成された珠玉のような思いが、まちがいなく本書には位置している。
卒業して去っていくボランティアのひとりが、その最後の介護ノートに「進め鹿野! 君の未来は明るい」と記してから、3年。2002年8月、壮絶で優しいたたかいのはてに、鹿野靖明は、帰らぬ人となった。 |
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佐藤正午 著
『象を洗う』 |
| 099 |
永倉新八 著
『新撰組顛末記』 |
| 098 |
村上 龍 著
『希望の国のエクソダス』 |
| 097 |
石川啄木 著
『啄木歌集』 |
| 096 |
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『色彩浴』 |
| 095 |
三國清三 著
『料理の哲学』 |
| 094 |
斉藤征義 著
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| 093 |
きらん出版会 編・刊
『きらん 魅惑の室蘭・胆振ガイド』 |
| 092 |
井内佳津恵 著
『田上義也と札幌モダニズム』 |
| 091 |
村上春樹 著
『羊をめぐる冒険』上・下 |
| 090 |
『faura』 |
| 089 |
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| 088 |
司馬遼太郎 著
『街道をゆく38 オホーツク街道』 |
| 087 |
『北海道かるた 方言編』 |
| 086 |
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| 085 |
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| 084 |
大崎善生 著
『聖の青春』 |
| 083 |
『女性史研究ほっかいどう』 |
| 082 |
松原 仁 著
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| 081 |
沢木耕太郎 著
『沢木耕太郎ノンフィクション4 オン・ザ・ボーダー』 |
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