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<24>坪井義明・長谷川岳 著『YOSAKOIソーラン祭り』 バックナンバー
『YOSAKOIソーラン祭り』坪井義明・長谷川岳 著 ◎YOSAKOIソーラン祭りは、コミニュティが生んだ経済である。

 2002年のYOSAKOIソーラン祭りは、つい先日終わった。
 静けさを取り戻した札幌の街角で、この本を読んでいる。
 著者は、政治学者の坪井善明・元北大教授と、YOSAKOIソーラン祭りの発案者で組織者の長谷川岳である。
 「街を舞台に踊ることは楽しい」―坪井の冒頭のこの言葉は、一見何とも拍子抜けするくらい陳腐に見えるが、実はこの祭りの本質を表している。街という開かれた空間を、非日常のものにすることに、人は不思議な高揚を覚える。
 この感情を、きわめてうまく組織<オーガナイズ>し、経営<マネジメント>していったことに、YOSAKOIソーラン祭りの成功が隠されている。
 感情の組織と経営。
 これは言うほどに簡単ではない。感情を組織することは比較的たやすい。しかし、それを経営することには、多くが失敗してきた。そこには、感情の純粋さと、金勘定の不純さの矛盾があるからだ。
 しかし、金勘定をする者がいなければ、誰がその純粋さを発揮できるのだろう。YOSAKOIソーラン祭りの運営者に投げかけられる「商業主義」の批判に、長谷川は、NPO(非営利組織)はそもそも自主財源によって運営される経済体だと反論する。
 YOSAKOIソーラン祭りは、コミュニティが生んだ経済であるともいえる。この祭りによって、衣装、音楽、移動、観光など周縁に様々な経済活動が生まれていった。その中核には経済組織としてのNPOを強く意識した人々がいた。しっかりした組織論と経営論が存在したからこそ、この祭りは、大きく成長し、全国に存在感をもったのである。
 しかし、同時にエネルギーはいつかピークを迎え、下降する。そのときに必要なのは、新しい飛躍に向けた革新=破壊的創造なのだということを、いちばんよく分かっているのは、長谷川自身だろう。
 この10年を振り返り、そこから教訓を学び、新たな飛躍を構想する。
 いいタイミングで本書は出された。
 NPO関係者にとっても、絶好の教科書である。


100 佐藤正午 著
『象を洗う』
099 永倉新八 著
『新撰組顛末記』
098 村上 龍 著
『希望の国のエクソダス』
097 石川啄木 著
『啄木歌集』
096 小林英樹 著
『色彩浴』
095 三國清三 著
『料理の哲学』
094 斉藤征義 著
『宇宙船売却』
093 きらん出版会 編・刊
『きらん 魅惑の室蘭・胆振ガイド』
092 井内佳津恵 著
『田上義也と札幌モダニズム』
091 村上春樹 著
『羊をめぐる冒険』上・下
090 『faura』
089 新穂栄蔵 著
『ストーブ博物館』
088 司馬遼太郎 著
『街道をゆく38 オホーツク街道』
087 『北海道かるた 方言編』
086 池澤夏樹 著
『静かな大地』
085 小檜山博 著
『出刃』
084 大崎善生 著
『聖の青春』
083 『女性史研究ほっかいどう』
082 松原 仁 著
『鉄腕アトムは実現できるか?』
081 沢木耕太郎 著
『沢木耕太郎ノンフィクション4 オン・ザ・ボーダー』

061-080
041-060
021-040
001-020

『YOSAKOIソーラン祭り』
坪井義明・長谷川岳 著
岩波書店 刊
2002年6月 発行
ISBN:4-00-700029-8
本体 760円