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<22>北海道新聞社編『アルテピアッツァ美唄-安田侃の芸術広場』 バックナンバー
『アルテピアッツァ美唄-安田侃の芸術広場』北海道新聞社 編 ◎アルテビアッツァ=芸術空間の内面を透過する写真集

 廃校の赤いトタン屋根。小雨に煙る深い緑。
 吹雪のなかに立つ彫刻。
 美唄市にある安田侃の彫刻を配した芸術空間・アルテピアッツァ美唄の写真集が刊行された。
 彫刻を写しとったのは、二人の写真家、村井修と並木博夫である。
 村井は東京在住で、これまでも安田の作品を撮り続けてきた。並木は北海道在住で、アルテピアッツァを通じて安田と出会った。この二人の写真は、混在している。見る者には、それぞれの写真家の区別はつけられない。それを意図的に行った編集者の冒険に驚かされる。その二人の写真家がぶつかりあいながら調和するページ展開を意図して作っている。
 それが実は、この本にひとつの緊張感をもたらしたといっても過言ではない。

 アルテピアッツァという名前は、芸術広場というイタリア語からきているそうだ。
 広場という語感には、都市の中心に位置する交流点としての広場、動的に人と人が交差している場所のイメージがつきまとう。
 しかし、このアルテピアッツァは、あくまで静的である。
 延々と連なる緑のなかに、ゆっくりと流れる時間は、喧噪とは無縁だ。
 ときおり廃校を校舎としている市立幼稚園の子供たちが彫刻とたわむれているのは、むしろ視えない広場を動かす妖精たちにも見える。
 つまりここは、精神の内側の場所にも見え、数千年という時間がすぎ、わたしたちの肉体が死滅した後も、ここに在り続ける意思にも見えるのである。

 安田侃は、ここに自分の彫刻を配して、いったい何を作ろうとしたのだろう。
 この写真集を見ていると、この場所を訪れ、芝生の緑に寝ころび、抜けるような青空をながめながら、そう考えたことを思い出した。


100 佐藤正午 著
『象を洗う』
099 永倉新八 著
『新撰組顛末記』
098 村上 龍 著
『希望の国のエクソダス』
097 石川啄木 著
『啄木歌集』
096 小林英樹 著
『色彩浴』
095 三國清三 著
『料理の哲学』
094 斉藤征義 著
『宇宙船売却』
093 きらん出版会 編・刊
『きらん 魅惑の室蘭・胆振ガイド』
092 井内佳津恵 著
『田上義也と札幌モダニズム』
091 村上春樹 著
『羊をめぐる冒険』上・下
090 『faura』
089 新穂栄蔵 著
『ストーブ博物館』
088 司馬遼太郎 著
『街道をゆく38 オホーツク街道』
087 『北海道かるた 方言編』
086 池澤夏樹 著
『静かな大地』
085 小檜山博 著
『出刃』
084 大崎善生 著
『聖の青春』
083 『女性史研究ほっかいどう』
082 松原 仁 著
『鉄腕アトムは実現できるか?』
081 沢木耕太郎 著
『沢木耕太郎ノンフィクション4 オン・ザ・ボーダー』

061-080
041-060
021-040
001-020

『アルテピアッツァ美唄
-安田侃の芸術広場』
北海道新聞社 編
北海道新聞社 刊
2002年5月 発行
ISBN:4-89453-209-3
本体 4,800円