HOME > 連載【となりの北海道人】『私のお父さん』第12回

連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第12回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■085『酔い勝った正月』

斎藤麻衣子さん(24)=居宅介護員、福島市出身、札幌市在住

 ―きょうだいは何人だったんですか。
 4人兄妹の末っ子です。上は3人とも兄だから、長女ってことになりますね。
 ―お父さんは厳しい人だった?
 厳しかったですね。いわゆる頑固親父で、私も頑固だったからしょっちゅう喧嘩してました。褒めてくれたことっていったら、部活動のハンドボール頑張った時とか、そんな程度しかないですね。今でもたまに喧嘩しますけど、同世代の男の人とつきあう時にはなぜか“お父さん系”の人に惹かれるんですよ。
 ―最近会ったのはいつですか。
 今年のお正月。ふたりで2升飲んで、記憶なくしました。私が先に泥酔したんで、お父さんはあんまり酔えなかったかもしれない。ま、お酒なんて酔ったもん勝ちだから、気を使う必要ないんですけどね。

(小笠原 淳)

■086『親子2代の燗酒』

松田尚実さん(45)=会社員、留萌管内苫前町出身、小樽市在住

 ―実家は“屋根屋さん”だったそうですけど。
 父親がトタン屋根の職人で、74歳の今も現役なんです。商売は弟が継ぐことになって、長男の私はなぜか札幌で出版社の営業。
 ―継いでくれ、とかいう話もなく。
 自分では「どうせおれが継ぐんだろうな」と思って工業高に進学しようとしたんだけど、父親に相談したら「別に継げって思ってないけど」って言われた。拍子抜けして普通高校行って、気づいたらこんなふうになってましたね。
 ―お酒は飲む方ですか。
 飲みます。銅の“ちろり”を自作して熱燗やるのが好きで、小さいころはそれを薪ストーブの湯沸しに引っ掛けて燗つけるのが子供の仕事だった。去年、実家にそのちろり置いてあったから貰ってきたんですよ。親子2代の燗酒。…それより今の仕事の話なんだけど、24日に出た新刊、宣伝してくんないの?

(小笠原 淳)

■087『トーマスになりたい!』

吉田悠人さん(3)=幼児、小樽市出身、小樽市在住

 ―パパといつも何して遊ぶの。
 パパとおおきいこうえん(ヴァリオス)にいって、タンクきかんしゃのトーマスにのるんだよ。それからすなばにいってあそぶの。おおきいおやまをつくるの。
 ―大きい公園で、迷子になったりしないの。
 だれかがゆうとをさがしてたよ。
 ―誰かって誰?
 だれかだよ。
 ―パパは探さなかったの。
 ゆうとがパパをさがしたんだよ。
 ―パパのこと好き?
 パパだいすき。ママだいすき。ばあちゃんもだいすき。おじちゃんも、おねえも、おばあやんも。
 ―大きくなったら、何になりたいの。
 タンクきかんしゃのトーマス!

(杉本真沙彌)

■088『趣味の謡曲、甘い採点に「やめた」』

田附克巳さん(44)=コンテンツ制作会社営業、滋賀県彦根市出身、空知管内南幌町在住

 ―お父さんが職人気質だったとか。
 鉄工所を切り盛りしてました。祖父が井戸のポンプに付ける砂除去のフィルターを考案しまして、それを製造・販売する工場を父がつくったんです。私も実家にいた頃は手伝いに狩り出されて、“ネコ車”に鋳鉄乗せて運んだりとか、ドリルに旋盤セットしたりとか、いろいろやってましたね。
 ―なんか職人っぽいエピソードってありますか。
 あんまりないなあ。…趣味で謡(うたい)をやってたことがありまして、自宅で稽古するぐらい凝ってたのに、なんか試験で甘く採点して貰ったのが気に入らなくて途中でやめちゃった。そういう頑固なところはあります。ひとの借金を肩代わりしたこともあって、それが原因かどうかわからないけどのちに工場を手離しました。今は、個人で仕事請けてやってます。そうだ、韓国の大統領だった全斗煥氏に顔が似てて…。あ、それはどうでもいいですか。

(小笠原 淳)

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