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連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第39回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■191『ヤンチャを見守ってくれた父に親孝行を』

中野 縁さん(50)=美容師、札幌市出身、札幌市在住

 ─お父さんは大正生まれで、電気工事の職人さんなんですね?
 だから頑固でね。短腹で、曲がったことが嫌いで、そして人の話を聞かない(笑)。でも、私は若い頃からヤンチャやっていたのに、父に怒られた記憶がないんです。冬場は出稼ぎで東京に行ってることが多くて、子どもの接し方がわからなかったのかもしれないけど、おかげで好き勝手ができました。
 ─じゃあ、お父さんとはあまり話をしてこなかったほう?
 ええ、18、9で家を出ちゃったし。私の結婚式の花束贈呈で「心がしくしくした」って父が言っていたと母から知らされたとき、初めて父の気持ちが聞けたと感じたほどです。
 ─会社経営者でもあるお父さんは、まだまだ現役で?
 2年前に心筋梗塞で倒れ、昨年、ガンが見つかりましたが、まだ「仕事に行くぞ」と言っていて、「もっと体を気遣え」と言う弟とケンカになります。父から仕事を取ったらガックリきちゃうので、折れてあげてもいいんじゃないかと思うんですけどね。私もこれまで野放図だったぶん孝行しなくては。

(鶴見裕子)

■192『しゅき!』

吉田名菜花さん(2)=幼児、小樽市出身、小樽市在住

 ―今日、パパはお出かけ?
 うん。
 ―どこに行ってるのかな?
 ……。
 ―日曜日にはパパと出かけたの?
 パパとブーブにのってでかけた。
 ―名菜花ちゃんの好きな食べ物はなあに?
 おしゃかな。
 ―エビは好き?
 しゅき。
 ―イカは?
 しゅき。
 ―パパは好き?
 しゅき!
 ―玉子は?
 たまごたべたら、かいかいなるの。チョコたべたら、はなぢブーってなるの。
 みてー!!
 ―なあに?
 (外を見て)イヌだよイヌ!

(杉本真沙彌)

■193『亡くなった実の父と、同居の父と』

大槻忍さん(28)=会社員、札幌市出身、札幌市在住

 ─お父さんがお二人いらっしゃるとか?
 はい、実の父は私が14歳のときに肺ガンで亡くなりました。今の父は、私が高校生くらいの頃にはもう一緒に住んでいたかな。実を言うと、父と母はまだ籍を入れていなくて、家には表札がふたつあるんです。姉の実の父は姉がおなかの中にいるときに離婚していて、私の実の父は母と再婚する前に子どもがいたので私には兄もいて……、複雑ですね(笑)。
 ─中高生は多感な年頃ですから、いろいろ悩んだりされたのでは?
 お母さんが恋愛するのは自由だと考えていました。でも、「お父さん」は実の父のことなので、今の父は「パパ」って柄ではないから「パーやん」って呼んでいます。
 ─お父さんから受けた影響はありますか?
 母と姉は虫や爬虫類が大嫌いなんですけど、私はそうでもない。山菜採りとか外遊びが好きだった実の父譲りなのかもしれないですね。今の父はテレビのクイズ番組などでわからないことがあるとすぐ辞典や地図を見るんで、私も調べグセがつきました。

(鶴見裕子)

■194『子どもを持つ今、おやじは反面教師』

米谷勝実さん(43)=会社役員、札幌市出身、札幌市在住

 ─お勤めは「北海谷」。二条市場の中でも老舗のお店ですね?
 二条市場が観光地ではなく普通の地域の市場だった頃からありましたからね。前身はおやじの母親が長男とやっていた米谷商店。次男で甲子園球児だったおやじが進路を決めようとしていた矢先に母親が亡くなり、店を手伝わざるを得なくなったようです。
 ─お父さんから「長男だから家業を継げ」と言われて今の仕事に?
 いえいえ。おれはもともとプログラマーで、店に顧客管理用のパソコンを導入するときに「やってみるか?」と言われたのが入社のきっかけ。実質的に店を継いだのは弟で、おやじがセミリタイヤ状態の今、仕入れも主に弟が仕切ってます。
 ─どんなお父さんですか?
 小学校の運動会で、走るのが苦手なおれに「せっかく仕事を休んできたんだから一等を取れ」と最悪のプレッシャーを与えるような親(笑)。どんなことをすると子どもがいやがるのか山ほど学べたので、自分の娘たちに接する際のいい反面教師となっていますね。

(鶴見裕子)

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