HOME > 連載【となりの北海道人】『私のお父さん』第27回

連載【となりの北海道人】『私のお父さん』

第27回

*話すこともあまりなく、聞くことも少ないお父さんの話。でも、お父さんにまつわる話はおもしろいんです。

■145『父の希望が伝染して、教師に』

キムラさん(41)=小学校教諭、胆振管内洞爺湖町(旧虻田町)出身、札幌市在住

 ―お父さんは教師。家ではどんな感じでしたか。
 小さい頃、チャンネル権は父にありました。『タイムボカン』は見ちゃダメだけど『宇宙戦艦ヤマト』や『海のトリトン』は大丈夫。『8時だヨ!全員集合』は良くて『オレたちひょうきん族』は禁止。「他の子は見てるのにどうしてうちはダメなんだろう」と思いました。父なりに子供に良いと思う番組を選んでいたんでしょうね。
 ―お父さんと同じ教職の道を選ばれましたね。
 教育大学に入りましたが、研究がおもしろくなり、大学院に進もうと。4年目の春、採用試験を受けない、と父に告げました。その後、実家に戻って酔った父の肩を揉みながらこんな会話をしました。
 私が編んだセーターを着ていた父に「いいセーターですね」と言うと、「これは遠くに行ってる娘が編んでくれたんだ。まあ、先生にならないって言うんだけど、自分の人生だからそれもいいでしょ」と。父はそのままグーグー寝てしまいました。この寝言のような言葉を聞いて、私は試験を受けることにしたんです。希望って伝染するんですね。

(杉本真沙彌)

■146『有機野菜づくりのサポーター』

白石俊英さん(46)=農業、伊達市(旧大滝村)出身、岩見沢市在住

 ―新規就農し、有機栽培に取り組んで11年。感想は。
 有機栽培は安全性や環境に配慮した栽培法であると同時に、おいしい野菜が作れる栽培法でもあるんです。その価値を実感してもらえるものを作りたい。そう思ってカミさんと二人頑張って、2、3年前から、どうにかこうにか納得のいくものがとれるようになりました。
 ―直売中心だそうで。
 有機農家数軒で札幌市内に直売店『Green Hand』を開き、ナス、トマト、キュウリ、葉菜類など、とれたてを運んでいます。特にスイカが評判いいんです。
 ―ご実家にも野菜を届けてるんですか。
 ええ。親にはいろいろ世話になってますから(苦笑)。父は長男として家を守り、国鉄職員として勤め上げた人で、私も公務員になることを望んでいました。息子が大学に入って喜んだのもつかの間、中退はするわ、就農を目指すと言って茨城に実習に行くわで、心配のしどおしだったと思います。だから父が「こんなおいしいスイカ、初めて食べた」と言ってくれたときは、本当にうれしかったです。

(道産ヨネ)

■147『耕運機を押し続けた堅実な父』

藤川光子さん(42)=編集者、名寄市(旧風連町)出身、札幌市在住

 ―ご実家は農業を?
 明治時代に曽祖父が開拓農家として四国から風連町へやってきました。戦時中、祖父が室蘭の工場で働いていたんです。父さんは長男なので、農家を継ぐことになり、親から離れて曽祖父のもとで育てられました。
 ―お父さんは堅実な方だそうですね。
 周りの農家がトラクターを買っても、父は耕運機を押し続けました。後継ぎもいなかったし多額な借金をして自転車操業になるよりは良いと思ったんでしょうね。でも母親は「父さんは冒険しなさすぎる」と言っていました(笑)。
 ―最近のエピソードは?
 夏に両親と稚内までドライブに行ったんです。昔は「スピード違反で捕まってどうする」と言って、制限速度が60キロのところを59キロで運転していた父ですが、70過ぎた今、気がつけば80キロも出してるんです。最近は農家をしていた頃にできなかった旅行がしたいとあちこちに出かけています。心配なので公共交通機関で行ってほしいですね。

(杉本真沙彌)

■148『8時だヨ!全員就寝』

小椋敬一さん(55)=会社役員、滝川市出身、札幌市在住

 ―屋上のフェンスの取り付けなど、高所での仕事も多いそうですね。
 ホテルの新築工事なんかだと地上数十メートル。ジャンボジェット機の格納庫のパネル張りのときは地上70メートルぐらいのところで仕事したよ。仮設エレベーターでスーッと昇っていけるし、安全帯(命綱)も“特大”があるから、今もって高い所OK!
 ―お父さんも技術系ですか。
 そう。おやじは国鉄の機関区でバッテリー関係やってたんだけど、53で退職して、55のとき病気で死んじゃった。今、俺、同じ年なの。
 ―感慨深いものがあるでしょうね。どんなことを思い出しますか。
 早寝! 夜8時になったらテレビも電気もバツッと消され、家族全員就寝。俺は今でも8時には寝てる。それと、汽車に乗っていて、おやじと向いの人が同時に立ち上がって頭と頭がぶつかって、おやじが謝ったことかな。2回同じこと繰り返し、また謝るおやじに、小学生だった俺は腹が立った。おあいこだと思ったから。ま、国鉄に勤めていたからそうしたわけで、後でそれに気づいたとき、大人の世界を見た気がした。

(道産ヨネ)

このページの先頭へ