和多田進のときどき北海道 第2回
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札幌I

 札幌の町に関する私の記憶の最初は、四歳だったろうか。早朝、父と母と私の三人で札幌駅に降り立つと巨大なボタン雪だった。
 降りしきる雪の中を親子は黙して歩いた。ときおり風が電信柱の電燈の笠を振るわせた。降り積もる雪の音と電灯笠の風鳴りを私はたしかに聞いた。これは思い込みなのか。四歳の小僧の妙に寂しい記憶は、後年の心理にまみれて事実に反しているのか。
 とかく、老いは過去を美しく彩るものらしい。

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2008年11月23日 旭川 ・札幌I