iPad大陸でも大流行!?

iPad大陸でも大流行!?

vol.9

2010.12

 先日、知り合いが自慢げにiPhone(アイフォーン)を見せびらかせてきた。以前から噂には聞いていたが中国でも大流行しているらしく、iPhone4は品切れのため大陸では手に入りにくいそうだ。小さな画面に指を当てて記事を引き伸ばして文字を大きくしたり、日本の雑誌や新聞を無料で購読したり、私のように海外にいるものにとっては夢のような携帯だ。しかし、画面がとても小さいので長時間見るには大変不便だ。そこで勧められるがままに、私はiPad(アイパッド)を購入することにした。
 繁華街にあるアップルストアーに行くと平日だというのに大盛況だ。私の前に並ぶ軍人やおばさんはiPadを5、6台一人で買っている。家族や知り合いに配るのだろうか、やはり中国の富裕層は金を持っている。iPadを大陸で買うことに一物の不安があった。すでに正規店ではない電脳城(家電量販店)では偽物が出回っていると聞いていたからだ。また、正規品を購入できたとしても中国のネット規制などで、海外のニュースは見ることができないのではないかという不安があった。
 早速、購入したiPadを起動してみる。日本語設定に変えると全く差し支えなく使用することができた。店員曰く、iPadは何処の国で購入しても同じ機能だそうだ。もしかしたら中国のインターネットでは見ることのできないユーチューブやツィッターなども見ることができるのではとアクセスしてみるが、やはり見られない。iPad用のコンテンツにも中国のネット規制があるようだ。それでも日本の雑誌や新聞がその日の内に見ることができる。今までは日本系ホテルなどの売店で数日遅れの雑誌を高い料金を払い買っていたが、これからは自宅でネットに接続するだけで新しい雑誌が読めてしまう。特に米国のニュース関連のコンテンツは豊富で、ワシントンポストやUSTODAYなども無料で手に入る。

Photography:Minoru Iwasaki

劉氏夫人の自宅前

 行きつけの日系ファミリーレストランでiPadを開いていると、店の中に5人も私と同じようにiPadを開いている人がいることに気付いた。しかもみんな中国人だ。インターネットがいくら規制されてるとはいえ、日本や欧米のコンテンツの中には中国共産党を批判した読み物もふくまれている。中国でiPhone やiPadが普及するとコンテンツ一つ一つまで検閲しなければならなくなる。やはりネット社会で情報を規制してゆくのは至難の業だと感じる。
 12月10日、ノーベル平和賞の受賞式が行われる日に、劉暁波氏の夫人が住む自宅に向かった。劉氏の裁判が行われていたころから何度か夫人を取材してきたが、受賞が決まってから、事実上軟禁状態になり、所在が確認されていない。自宅前には私服警官や公安関係者が警備に当たり、門のあるところではこの日に合わせて道路工事がはじめられ、バリケードのような仮設の蒼い壁が設置された。メディアは1カ所に集められ、その横を嫌がらせのために何度も清掃車両が埃を立てて通り過ぎてゆく。それを見た米国の記者は「なんて子どもじみたことをするんだ……」とあきれ果てていた。
 授賞式を伝える海外のテレビのニュースは中国政府の検閲により遮断された。私が購入したiPadのコンテンツでは規制もなく劉暁波氏の授賞式の動画ニュースを閲覧することができたのだが………。


終わり

プロフィール

岩崎 稔(いわさき みのる)
写真家。1974年、宮崎県生まれ。東京工芸短期大学写真学科卒業、中国人民大学法学部卒業。95年から北京市に暮らし、同市を拠点に活動を続けるかたわら、アジアのフォトグラファーネットワークづくりなどに尽力している。2010年度新聞協会賞受賞。
・Minoru Iwasaki Photography

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