『手作りダイジョ〜ぶ経典(スートラ)』のオススメ

『手作りダイジョ〜ぶ経典(スートラ)』のオススメ

vol.15

2011.06

『手作りダイジョ〜ぶ経典(スートラ)』のオススメ

とろんの「右巻きアートエッセイ」 プロフィール

家族遍歴風景A 四歳の祈り(おにいちゃんになる太一 in カトマンドゥー)

 いのちは呼吸するもの震えるもの疼くもの。形も色も大きさもなく、有るとか無いとかもなく、善悪美醜上下左右などまるで関係なく、偶然でも必然でもない、まったく〈当然〉な状態、止むに止まれぬ、ふくらみ。
 ときが熟し、いのちが疼いて、ボクは「あっ」と産まれ出た。ぐうぜんでも必然でもなく、まったく〈当然〉にボクは産まれ出た。いのちがやどった。命が宿った。〈宿命〉ってやつだ。ヒトとして産まれ、ボクとして生まれ、そしてボクの〈宿命〉ってやつが、止むに止まれず、ふくらみはじめた。
 ときが熟し、ボクの「いのち」が疼いて、あっと、うちゅう(宇宙)が、ふくらんだ。そして、ときが熟し、あんたの「いのち」が疼いて、うっと、うちゅうが、ふくらんだ。偶然でも必然でもなく、まったく〈当然〉にあんたとボクの「うちゅう」が、んっとひとつに成った。
 ボクとして産まれ、あんたとして生まれ、そして、ボクとあんたの「うちゅう」ってやつが、止むに止まれず、あっうっんっと、ふくらみ感染しはじめた。
 こんな感じでね、あんたの、あんただけの『手作りダイジョ〜ぶ経典(スートラ)』を、あんたの手で(あんたのてで)作ってゆくんだよ。交換不可能(あんただけ)の方法でね。
 -『とろんのダイジョ〜ぶ経典(スートラ)』(晩聲社刊)からの抜粋―


 きょう、雨の中、四歳の太一と一緒に近くの温泉に行って、露天の広い岩風呂にだれもいなかったので太一に泳ぎかたを教えていたら、内風呂から入ってきた中年の頭の禿げた男の人に突如「そりゃ逆でしょ!! 教えるなら社会道徳が先でしょ!!」と断言されてしまった。頭にきて「バカヤロー! 子どもがいて、自分が静かにのんびり入れないからイヤなだけでしょ! 社会道徳なんか持ち出すんだったら、ボクなんかにいわず、そう思うアンタが直接この子にその社会道徳やらを教えればいいんじゃない?? アンタみたいなわかったような顔した押しつけがましい勝手な大人がいるから、子どもや日本がダメになるんだよ!!!」と言い放ちたかったけど、ボクにしては珍しくなにも反論しなかった。
 純粋に止むに止まれずイノチあふれゆく子どもの前で、もうこれ以上、オスの大人の愚かな争いの風景を見せたくなかったのだ。勝手なオスの大人たちが自分たちの欲望や美意識や思想や道徳や宗教や善悪の基準を交えて作り上げた社会構造に、何も知らないで、止むに止まれず、ただすくすくと成長してゆく子どもたちや女たちが、もうこれ以上、巻き込まれまとめられませんよう!!! そして、持って生まれたかけがえのない人それぞれのイノチの宝物が、もうこれ以上、萎縮したり汚されたり支配されたりしませんよう!!!
 大人社会は、この世に産まれたばかりで何も知らない無力の子どもたちを護り育てなくてはならないのに、いまだに放射能のなかに多くの子どもたちを放置していられる戦時中と同じキモチワルイ、オス的社会構造。あと何度の「天啓」が下り、どれほど多くの犠牲者が出れば、勝手で無知で欲深いオスの大人たちの目が覚めるのだろうか???
 あと3週間で二人目の子、満(みちる)がこの世に産まれてくる。今回も、オスたちが薬とメスで待ち構えてる病院や、そんなオスの医療管理下にある助産所にも頼らないで、愛妻はるかと四歳の太一とボクだけの、愛と自由と女力だけが頼りの自宅出産だ。
 今回は、ちょっと、オス的文章になっちゃったけど、ヤル側でもなくヤラレル側でもなく「縁側」でひなたぼっこ♪の、ドクターとろんより。

プロフィール

とろん
1969年高校卒業直後、フランス郵船に乗ってインドに上陸し地球放浪をはじめる。帰国後、専門学校、大学、夫などを中退しながらも、旅と文筆とライブ活動を続行。50歳(2001年)からタイ北部の山間の町「PAI」にベースを移し、村創りをはじめる。現在、2012年12月から108日間の祭り(たましいのかくじっけん)第2弾を想定しながら、桃源郷「NEW MOON VILLAGE」を創作中。著書に『純粋単細胞的思考』『まるだしのエクスタシー』『とろんのダイジョーぶ経典(スートラ)』(共に、晩聲社)がある。
・とろんのホームページ

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